発達特性として自閉スペクトラム症(以下、ASD)や注意欠陥多動症(以下、ADHD)に起因する困難さと、援助志向に対する主体的な意欲と援助志向に求められるスキルの獲得と援助志向の必要性および、協同活動における有効性や貢献性に係る志向との関係性を、量的データを用いて明確にすることを目的でとした。 分析の結果、ASDに起因する困難さが高いほど、援助の志向性や援助するために必要なスキルの獲得度合い、そして、他者と協同して取り組もうとする志向に対する有効性や貢献性は低下することが示された。特に、女子高校生では、ASDに起因する困難さと援助志向性、援助志向スキルは有意な負の相関がみられた。加えて、ASDに起因する困難さと協同活動有効志向性、協同活動貢献志向性は有意な負の相関がみられた。特に、女子高校生では、ASDに起因する困難さと協同活動貢献志向性は有意な負の相関がみられた。 ASDに起因した困難さが高い高校生は、援助されたいという志向性と援助したいという志向性、他者と協同して課題に取り組ことに対する有効性や集団に参画してグループの一員として貢献する志向性について、ニーズを抱くことが難しいのではないかと推測する。確かに、ASDの傾向がある人は、特性として独りの活動を好む傾向がある。無理やり他者を交わることを強いる指導は、失敗体験を積み重ねる危険性をはらんでいる。しかしながら、他者との関りが彼女らにとって成功体験、つまり他者に関わってもらってよかったと思える体験を増やしていくことができれば、協同学習や援助要請に関する志向性を変化させていくことが出来、メンタルヘルスの向上に寄与することが推測される。上記の仮説は未だ明らかにされていないため、今後は、いくつかの支援事例をもとに検証していくことは、喫緊の課題である。
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