研究課題/領域番号 |
20K14070
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
橋口 優 群馬パース大学, リハビリテーション学部, 講師 (60779908)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 筋活動の複雑性 / 筋シナジー / 上肢巧緻動作 / 書字動作 / 運動学習 |
研究実績の概要 |
筋シナジーとは身体にある複数筋間の協調性を表す概念であり、表面筋電図データから明示することが可能となっている。近年、先行研究では歩行動作を対象として筋活動の複雑性を示すためにWalk-DMCと呼ばれる指標が用いられている。本課題では、この指標を改変し脳性まひ児の上肢運動における筋活動の複雑性を定量的に評価する指標(CM-S)を開発することを目的としている。その前段階として、Walk-DMCの性質を検討するための研究を実施し、前年度までに測定及び論文執筆を行った内容が、今年度国際誌に採択及び掲載された。この論文では、即時的な条件変化によってWalk-DMCは変化しないことが明らかとなっており、筋活動の複雑性を示すWalk-DMCやCM-Sは、運動学習等のある程度長期的な条件変化に対応して変化する可能性が示唆された。第二段階として、前年度より脳卒中後片麻痺者を対象に書字動作課題の運動学習前後の筋活動の複雑性に関するCM-Sを用いた研究を開始し、予定していた14名に対する測定を完了した。得られたデータについて、現在データ解析及び統計解析を行っている。まずは、運動学習前後におけるCM-Sの変化の有無について明らかとし、変化が生じた場合、その変化量と学習前後の書字課題の成績との関係性を明示することにより、脳卒中後片麻痺者の麻痺側上肢のパフォーマンスと筋活動の複雑性の関係性を明示することを目的としている。また、比較対象として健常者を対象とした非利き手での書字動作の運動学習前後の筋活動の複雑性の定量的評価に関する研究を開始しており、現在測定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
投稿中であった論文が国際誌に採択及び掲載された。また、脳卒中後片麻痺者を対象とした測定について予定人数の測定が完了した。得られたデータの解析と比較検討、結果の考察を行っており、おおむね予定通り進捗している。一方でCOVID-19の感染拡大によりリクルートが困難であった脳性まひ児の測定を開始する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
脳卒中後片麻痺者を対象とした測定が完了し、得られたデータについて解析と検討を進める予定である。同時に、比較対象として健常者を対象として非利き手側での書字動作課題の運動学習前後の筋活動の変化を明らかにするための測定を開始している。これらの結果について、論文を執筆し、公表する。また、COVID-19の感染拡大によりリクルートが困難であった脳性まひ児に対して、感染状況と施設の感染対策に則り、実施の可否を確認した上で、脳性まひ児のリクルートを開始し、計測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大により、対面での情報収集等の機会が減少し、特に旅費などの費用において余剰が発生した。次年度は、情報収集および学会発表の機会の増加に努め、経費が予定に達すると見込まれる。
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