研究課題/領域番号 |
20K14075
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
黒神 経彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, こころの診療部, 医員 (70849471)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | もぐらーず / 連続遂行検査(CPT) / 注意欠陥/多動性障害(AD/HD) / ロジスティック回帰分析 / 予測モデル |
研究実績の概要 |
本研究では「もぐらーず」というモグラたたきを模した連続遂行検査(CPT)で、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)群、非AD/HD群のデータを抽出、比較し、同CPTをAD/HD特性判別の客観的指標として確立することを目的としている。 令和2年度には、AD/HD群と非AD/HDを設定し、データを抽出した。AD/HD群として、2015年4月~2020年4月に当科受診歴がありAD/HDの診断に該当し「もぐらーず」を施行していた症例から計123名(男児:101名、女児22名)を選定した。非AD/HD群として、研究の既報である「健常児童及び注意欠陥多動性障害(ADHD)児における持続的注意-視覚性持続的注意検査「もぐらーず」による検討-」での、通常学級に在籍する6~11歳の計153名(男児:69名、女児:84名)のデータを二次利用した(研究代表者より二次利用承諾済み)。 上記2群において「もぐらーず」結果のデータ抽出を終えた。「もぐらーず」結果が、感度、偽陽性率への変換が可能であったため、それぞれの検査結果の差異を2群で比較するという手法ではなく、ロジスティック回帰分析を用いた予測モデルの作成が可能であると考えた。 「もぐらーず」結果に性別、年齢も合わせて、ロジステイック回帰分析を行い、AD/HD特性の予測モデルを作成した。 今回設定した2群で作成した「もぐらーず」予測モデルでは、AD/HD不注意優勢型と非AD/HD群、AD/HD混合型と非AD/HD群のいずれにおいても、9割前後の確率でAD/HD特性の判別が可能であった。研究成果については、2021年度の学会で発表を予定しており、論文については作成中となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、令和2年に、非AD/HD群を近隣小学校から公募する予定であったが、コロナウィルス感染症の影響もあり、公募が困難であった。そのため「もぐらーず」既報論文の健常児データを研究代表者より承諾を得た上で、非AD/HD群データとして2次利用した。 その後、AD/HD群、非AD/HD群の選定、2群での「もぐらーず」のデータ抽出を終えている。「もぐらーず」をAD/HD特性評価ツールとして利用するための予測モデルについては基礎的な部分について既に作成している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、2群について、新たにデータを集積し、今回の予測モデルの追加検証を行う予定。 AD/HD群は当科で新たにAD/HDと診断され「もぐらーず」を施行した症例、非AD/HD群は近隣公立小学校普通級から児童を公募する形での集積を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は非AD/HD群の公募を行わなかったため次年度使用額が生じた。翌年度は、学会発表での旅費、非AD/HD群公募による謝金、人件費などが生じる見込みであるため、繰り越した助成金も含めて使用を予定している。
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