本研究では「もぐらーず」というモグラたたきを模した連続遂行検査(CPT)で、注意欠如・多動症(ADHD)群、非ADHD群のデータを抽出、比較し、同CPTをADHD診断判別の客観的指標として確立することを目的としている。令和2年度には、ADHD群として、2015年4月~2020年4月に当科受診歴がありADHDの診断に該当し「もぐらーず」を施行していた症例から計123名(男児:101名、女児22名)を選定した。非ADHD群として、研究の既報である「健常児童及び注意欠陥多動性障害(ADHD)児における持続的注意-視覚性持続的注意検査「もぐらーず」による検討-」での、通常学級に在籍する6~11歳の計153名(男児:69名、女児:84名)のデータを二次利用した(研究代表者より二次利用承諾済み)。「もぐらーず」結果に性別、年齢を合わせて、ロジステイック回帰分析を行い、ADHD診断の予測モデルを作成した。令和3年度には、非ADHD群として、近隣公立小学校普通級から児童を募集し、病院にて個別に検査を施行した。計64名(男児:37名、女児:27名)で検査を行い、本研究の基準を満たした計50名(男児:28名、女児:22名)のデータを収集した。ADHD群としては、令和2年4月~令和3年12月に当科受診歴がありADHDの診断に該当し「もぐらーず」を施行していた症例から計40名(男児:31名、女児:9名)のデータを収集した。その後、追加データを利用した形で、再度予測モデルを作成したところ、ADHD不注意優勢型と非ADHD群、ADHD混合型と非ADHD群のいずれにおいても、前回と同程度の9割前後の確率でADHD診断の判別が可能であった。研究成果については、これまで複数の学会で発表を行った。論文については令和4年にBrain & development誌に受理されている。
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