研究課題/領域番号 |
20K14079
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
遠山 紗矢香 静岡大学, 情報学部, 助教 (80749664)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小学校でのプログラミング教育 / 理解深化 / 協調学習 |
研究実績の概要 |
本研究では,学習者の理解深化を促すために,「活用→習得」型の学びにプログラミングを効果的に適用する枠組みを提案することを目的に掲げて研究を行ってきた. 1年目の本年は,プログラミングを協調学習と組み合わせた学習環境のデザインを行い,学習者の理解を深化させるためのツールとしてプログラミングを活用した.具体的には,座標平面上を自在にキャラクターが動くゲーム要素を取り入れた穴あきプログラムを児童へ提供し,話し合いながらプログラムを完成させることを促した.また,プログラミング活動の前後において,児童の理解状況を確かめるための座標平面に関するペーパーテストを実施した. その結果,児童の多くは穴あきプログラムを完成させた一方で,完成させたプログラムと関係の深いペーパーテストの問題には正答できない場合が少なくないこと,協調的な話し合いはプログラムがなぜそのようになるのかという機構に関する理解を深めるために寄与していたことが示された.一方で,穴あきプログラムを提供する形式では,プログラムが期待通りに動けば児童の探究が止まってしまうことも示された. 以上の結果は,プログラミングは「できる」が「わかる」に先んじる可能性を含む活動であること,児童を「できる」のみに留めないためには協調学習が有効であること,教材において「わかる」ことの必然性を高めるのが重要であることが示された. 今後は,上記知見を盛り込んだプログラミングの指導案作成と実践を行ったうえで,現職の先生方にもこれら知見の有効性を検証していただき,先生方との協働的な指導案作りへと発展させていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は「できる」が「わかる」に先んじて生じる可能性があることを確かめること,「できる」ことが強調される学習でも児童同士の協調学習が「わかる」へと向かわせることを,実践から確認することができた.研究開始当初はCOVID-19の影響により,小学校での実践や児童を集めての対面での実践は困難だと思われたが,9月頃からは感染防止対策を講じたうえで対面授業が開始されたため,本研究で予定していた実践も行うことができた.また,プログラミング活動を促進するための穴あきプログラム教材と,プログラミング活動を通じた学習成果を評価するためのペーパーテストを開発することもできたため,研究はおおむね順調に進めることができたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,1年目の実践を通じて得られた,児童が完成させたプログラムと関係の深いペーパーテストの問題には正答できない場合が少なくないこと,児童同士の協調的な話し合いはプログラムがなぜそのようになるのかという機構に関する理解を深めるために寄与していたことの2点を踏まえたうえで再度実践を行う.また,1年目の成果より,穴あきプログラムを提供する形式では,プログラムが期待通りに動けば児童の探究が止まってしまうことも示されたため,児童が機構を理解することを促すための教材設計を行う予定である. 本研究では,将来的に,現職の先生方にもこれら知見の有効性を検証していただき,先生方との協働的な指導案作りを行っていく予定である.このため,2年目の実践からも,ツールとしてのプログラミングの新たな可能性を得たうえで,3年目以降の先生方との協働へとつなげていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響を受け,8月頃までは計画通り研究が進められるかを見通すことが難しかったため,主に人件費の支出計画を先送りした. 次年度使用分は,教材開発のための調査に関わる文献・資料の購入や,実践を記録するためのカメラ等,消耗品費へ主に充てる.また,論文投稿・校正に関する支出も予定している.
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