本年は(1)メタ認知の観点からプログラミング学習への介入を行う実験室実験,(2)ジェンダーが子ども達のプログラミング学習へ与える影響についての量的調査,(3)プログラミング教育の長期的な評価研究について以下の成果取りまとめを行った. (1)複数名でプログラミングを進めていく場面において,プログラムへのメタな振り返りを促すための手法が,プログラムを端的に構造化して記載することを促す可能性が示された. (2)子ども達とその保護者も調査対象に含めたうえで,ジェンダーと情報分野の関係性について量的調査を行った.その結果,ジェンダーバイアスの緩和には,子ども達の周囲にIT関連職で働く大人がいることが寄与することが示された. (3)プログラミングを用いて探究的な学習を経験した子ども達が,そこでの学びを自分自身の人生に活かしていたことや,プログラミングが探究的な学びと互恵的に機能していたことが示された. 研究期間全体を通じて,プログラミングにおける理解深化に協調活動が有効であることが示された.特に,プログラミング以外の場面で用いられている相互教授法に沿った協調学習は,プログラムの正確さや可読性を向上させることが示された.また,子ども達を対象としたプログラミング教育場面では,子ども達が好きなものを作ることを後押しし,プログラミングの講義は活動時間全体の1割未満に抑えたうえで,一般的なプログラミング講義とは異なる順序で講義を構成した.この方法は,基礎を学びその後で活用を行うという順序ではなく,必要に応じて基礎的なことをわかっていくような学び方であった.また,子ども達は互いに異なるものを作りながらも子ども達同士で話し合いながら活動していたことから,子どもが1人ひとり異なるゴールを設定することや,そのゴールに向けて自己調整しながら進んでいくことが,協調学習と両立しうることも示された.
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