研究課題/領域番号 |
20K14082
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
板垣 翔大 宮城教育大学, 教育学部, 講師 (20847850)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 運動技能 / 人工知能 / スマートデバイス / e-Learning / 木材加工 / のこぎり引き |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,スマートデバイスや人工知能を用いた運動技能のセンシングや分析により,運動技能の習得における個別最適化の手法を開発することである。スマートデバイスの用途は,動作のセンシングとフィードバックの提示であり,人工知能の用途は,画像認識技術や骨格検出技術による動作のセンシングや,スマートデバイスによりセンシングしたデータの分析である。これらをすべて組み合わせることでより効果に運動技能を習得させることができると考えられる。 しかし,研究開始当初はコロナ禍の影響により,運動技能の習得を遠隔で行う必要性が急に高まった。そこで,センシングデータの人工知能による分析に先立ち,開発が容易な,スマートデバイスによるセンシングとフィードバック,および骨格検出技術による運動技能のセンシングから着手した。木材加工ののこぎり引きの技能を対象に,学習者が各家庭でスマートデバイスと人工知能の骨格検出技術を用いて,技能を習得するための練習を行った。木材加工の専門家による評価の結果,のこぎり引きの技能が習得されていることが明らかになった。 その後,人工知能を用いて,のこぎり引きを対象に,熟練度を推定するシステムの開発に成功した。具体的には,熟練者と非熟練者各3名,計6名の動作をスマートウォッチを用いてセンシングし,そのデータを人工知能に学習させることで,その後にセンシングした未知のデータが,熟練者の動作データなのか,非熟練者の動作データなのかを高精度に推定することに成功した。 今後,この成果を生かし,学習者の特徴に応じた技能向上に向けたフィードバックを提示するなどのシステムの開発を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
のこぎり引きのセンシングデータから人工知能を用いて動作の特徴を推定する機能の開発は,今年度までに終える予定であったが,開発に難航している。具体的には,本来,多くのパターンを見分けることを目指していたが(のこぎりの引きの速度,ブレ,角度,力の入れ方,など),現状では2つのパターンを見分けることにとどまっている。今後この点を解決することができれば,研究を加速させることができる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,のこぎり引きのセンシングデータから人工知能を用いて動作の特徴を推定する機能の開発を進めていく。この機能のベースとなる機能は今年度までに終えているため,それに基づいて改良を加えていく。本学ではコロナ禍による通学の規制がほぼなくなったため,動作のセンシングデータの収集など,協力者による協力を得られやすくなった。また,研究の進捗を随時学会等で発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
のこぎり引きのセンシングデータから人工知能を用いて動作の特徴を推定する機能の開発に少々の遅れが生じており,実践利用を通して評価するフェーズへ移行できず,必要な機材の購入に至らなかったため。今後,当該機能の開発を進め,実践利用に向けて必要な機材を購入する予定である。
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