研究課題/領域番号 |
20K14083
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
泰山 裕 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90748899)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 思考力育成 / 思考スキル / 思考ツール / 教育工学 / 情報教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である思考スキルの転移を促す学習支援ツールを開発するために,2020年度は,主に研究目的1)思考スキルの転移を促すための要素の整理と研究目的2)それらの要素を育てるための指導方法について検討した。文献研究や実践事例の収集,分析をもとに思考スキルの転移を促すための要素とそのための指導方法について検討した。 思考スキルに関する理解度等の指標と学力調査結果の関係を分析することで,思考スキルの転移に繋がる要素を抽出した。 そこでは,学力調査への転移には,思考スキル自体の習得度合いよりも,該当スキルの活用回数や,汎用性の認識が,転移に影響することが明らかになった。 その結果をもとに,教科横断的に活用したシンキングツールを蓄積し,振り返ることにより,思考スキルの汎用性の認識の獲得を支援できるのではないかと考えた。 そのため,そのような指導が,思考スキルの転移を促すかどうかを検討するための研究デザインとデータ収集を行なった。焦点化した教科横断的な実践を長年継続している学校に依頼し,シンキングツールを蓄積し教科横断的な振り返りに活用することで,シンキングツールが思考スキルの汎用性の認識を得るためのツールとして有効であるかどうかの検証を行なった。既にデータ取集は完了しており,データ分析を進めているところである。 分析の結果,シンキングツールのポートフォリオが,児童の思考スキルの汎用性の認識に影響していることが明らかになり,思考スキルの転移に繋がる要素とそれを促すための指導方法が整理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響で,学校訪問が難しい時期もあったが,既に収集していたデータの分析結果から得られた指導方法の提案とそれをこれまでつながりがあった学校に依頼し,成果の検証までを終えることができた。 申請書に記した計画通り,研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究で明らかになった要素をもとに,それを支援するようなシステムの開発を行う。 GIGAスクール構想により,1人1台の情報端末が多くの学校で活用可能になったことにより,今年度明らかになった指導のポイントを支援するような仕組みを構想しやすい状況である。 新たなシステムを構築するのではなく,多くの学校で活用可能なサービスを活用しながら,思考スキルの転移を促す学習支援システムの提案を行い,その実践と評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスにより,対面の会議や学会参加等ができなくなったことにより,交通費の支出が当初の予算よりも少なかったことが影響している。 今年度はシステム設計に関する研究を実施するため,可能な限り対面での研究協力依頼を進めるとともに,システム実行にかかる関連機材の購入を計画している。
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