研究課題/領域番号 |
20K14084
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
米谷 雄介 香川大学, 創造工学部, 准教授 (00735144)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 仮想学習環境 / 学習分析 / データ連携基盤 / VR / MR / デジタルトランスフォーメーション |
研究実績の概要 |
本研究では「教育のDX」と「地域のDX」の相互作用を生み出すため、対面授業では得られない学習者体験を生み出す、大学・地域で共有可能な新たな仮想学習環境を構築する。異なる学問的背景をもつ複数のゼミや異なるテーマに取り組むコミュニティが空間的制約を超えて交流可能な仮想学習環境を構築し、このような環境を「産」「官」にも開放することで大学のもつ知の拠点としての機能を強化することを目指している。仮想コワーキングスペースでの学習者の行動から現実における課題達成パフォーマンスを予測する手法をAI等の技術により実現し、より価値の高い仮想学習環境を各大学が実現するための基盤的な知見を提供することを目的と定めている。本目的を達成するため、(1)ゼミ活動の経営資源管理機能を備えた複数ゼミ仮想コワーキングスペースの構築、(2)ゼミ活動における学習履歴・学習ログのリアルタイム記録・再生システムの構築、(3)複数ゼミ交流実践に基づくゼミの学習評価において有意な行動履歴データの充実といった3つの目標を設定し研究を推進している。 研究期間1年目は、(1)(2)の機能を有する仮想コワーキングスペースのプロトタイプを開発したので、研究期間2年目は、異なる学問的背景をもつ複数のゼミによるゼミ活動において実際にこれらの機能を利用し、実運用が可能な形にシステムの機能を洗練した。(2)についてはVRヘッドセットおよびコントローラのセンサーデータや、音声記録データを利用して、ゼミ活動を仮想空間に再生する機能を検証し、ゼミ活動の振り返りにおける有用性を確認した。 (1)については、エンドユーザが利用可能なコンテンツ登録機能や、(2)の振り返りの際に時間軸に沿った振り返りコメントを登録できる機能を追加した。これらのシステム開発および評価などの成果は、学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】にも述べたとおり、本研究では研究目的を達成するため、(1)ゼミ活動の経営資源管理機能を備えた複数ゼミ仮想コワーキングスペースの 構築、(2)ゼミ活動における学習履歴・学習ログのリアルタイム記録・再生システムの構築、(3)複数ゼミ交流実践に基づくゼミの学習評価において有意な行動履歴データの充実といった3つの目標を設定し研究を推進している。(2)については、リアルタイムに収集されたVRヘッドセットやコントローラのセンサーデータおよび音声データを用いてゼミ活動を後刻、仮想空間に再現する機能を開発した。(1)については、エンドユーザがより簡単にコンテンツを登録できるようにユーザインタフェースを拡張し、(2)の振り返り時に時間軸に沿って振り返りのコメントを残せる機能を追加実装した。 当初の計画では、(1)については研究1年目に基盤となるシステムの開発をおこない、2年目に実際のゼミ活動での実践を通じて実運用可能な形に機能を洗練する計画であった。 (2)については研究2年目に開発を進め、3年目に収集したデータの利活用方法を検討する計画であった。実際のところは、1年目に(1)(2)同時に開発が進み、2年目は、異なる学問的背景をもつ複数のゼミによるゼミ活動において実際にこれらの機能を利用し、実運用が可能な形にシステムの機能を洗練できたので、おおむね計画どおり進展している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間3年目は、当初の計画にしたがい、仮想コワーキングスペースを利用して、実践に基づき、ゼミの学習評価において有意な行動履歴データの充実を目指す。ユースケースを検討し、教育モデルおよびその効果測定をおこなうための成果指標を定義し、行動データと成果指標との関係性を分析する。本研究は大学の異分野連携・地域連携の推進に有用な仮想学習環境の構築を目指すものであるため、高大連携教育やリカレント教育・リスキリング教育といった教育機会を対象にする。研究代表者は社会貢献活動の一環として、香川県高等学校教育研究会の情報教育検討部会と連携し教科「情報」のカリキュラム充実や、地域住民協働のスマートシティ推進など社会課題解決において、地域人材育成プログラムの提供というアプローチで関与している。このような教育機会に研究成果を適用することを通じて研究目的を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止対策が我が国でも継続的に実施され、多くの学会発表の場がフルオンラインもしくはハイブリッドに移行した。そのため年度の当初に計上していた学会発表旅費が結果的に発生しなかった。3年目は、ユースケースに対応した、参加者が仮想空間内で共有するCGオブジェクト等のコンテンツの充実や、行動データ収集用のセンサーの充実が求められるので、それらの目的に使用する。
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