本研究は、大学進学希望者やその支援者の将来のキャリアを見据えた進路選びを支援することを目的として、①大学の専攻分野と卒後の進路選択の関係の変遷の解明と、②その対応関係から最適な進路選択支援システムの開発を試みるものである。 ①について、具体的には、初年度の分析に大学の属性という要因を加えた3要因(学問分野、大学の属性、年度)について、進路別の就職者数等がどのような対応関係にあるかを対応分析等により明らかとすることを目的として、分析を行った。大学の属性としては、国立大学と公立大学に焦点を当て、大学の専攻分野と卒後の進路選択の関係を可視化することを試みた。①に関連しては、(a)令和2年度時点での日本の私立大学における卒業後の就職先に関する量的な情報のインターネットを通じた公表の状況について調査するとともに、(b)学生を対象に(a)に示したような情報等が大学選びにどの程度重要であったかについて質問紙調査を行い検討し、大学進学希望者へのキャリア教育の改善についての示唆を得た。また、②に関しては、文献調査等により海外の支援システムの情報を収集し、この情報をもとに、BIツールを用いて学問分野と卒後の進路状況の対応関係を可視化し、日本版の進路選択支援システムを試作した。
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