最終年度は、これまで行ってきた研究の成果を援用しながら中学校・高等学校における継続的に実施可能なインターネット依存・ゲーム障害の予防教育のカリキュラムを開発し、ある中学校・高等学校において4年間にわたって実践を行った成果について論文にまとめた(鶴田、2022)。具体的には、中学2年生の2018年度~高校2年生の2021年度に、特別活動の時間、情報、保健、理科、家庭科など複数の教科の授業において予防教育の実践を行い、授業実践を通した生徒のインターネット依存傾向、ゲームの利用時間の変容などについて分析することで、実践の成果と課題について検討した。その結果、生徒のインターネット依存傾向は全体的に改善され、ゲームの利用時間も減少し、授業実践終了後もその状態が継続されていることが確認された。 本研究期間では、まず中学校の特別活動において実施可能なゲーム障害・インターネット依存を予防するためのカリキュラムを開発した(鶴田、2020)。その結果、生徒の利用時間が全体的に減少したり、ゲームやインターネット利用に関わる意識や行動も改善されていることが確認された。その後、この中学校での実践の成果と研究代表者が本研究課題より前に行ってきた高等学校での予防教育に関わる研究成果を踏まえ、上記のように中学校・高等学校で実施可能なカリキュラムを開発し、生徒の変容が確認された点で一定の成果が確認された。この実践は、コロナウイルス感染症の影響により予定していた一部の授業実践を行うことができなかったが、中学校・高等学校において実施可能な継続的な予防教育の実践を実現し、生徒の行動に変化が見られた点に意義があると考える。 今後は,本実践をより一般化していくための教育方法の精度の向上を研究課題としたい。
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