研究課題/領域番号 |
20K14098
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研究機関 | サイバー大学 |
研究代表者 |
高林 友美 サイバー大学, IT総合学部, 助教 (90843805)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育工学 / 教育コミュニケーション / 自律的学習 / 学修支援 / 特性理解 |
研究実績の概要 |
本研究では、発達障害の特性を持つ学習者が主体的に学びを深めるためにどのような問題があるのかを解明した後、自身に合った自律的学習スタイルを習得するための支援ツールの開発を目指している。今年度は、まず前半の特性を持つ学習者の抱える個別の課題の解明に取り組み、支援ツールの機能のひとつとなりうる方法についての実験・評価を行った。 具体的には、発達障害の特性に配慮した学習支援について、国内外の事例を集めた上で、教育工学や教育コミュニケーション論で紹介されているモデルに則した枠組みによる分類を行った。その結果、カリキュラムの段階化(ステップ・バイ・ステップ)と学習者の理解度を対応させるいわゆる「個別最適化」などの授業内容の設計だけではなく、教授システムをマクロにとらえたモデルに従いながら、伝達方法などの多くの要素において個別の学生に特化した支援が考えられることが分かった。 また、新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、オンライン授業を国内の多くの大学生が経験することとなった。特性理解と個別最適化された支援ツール開発を目標とする本研究では、当初の予定にはなかったものの、個々の学生のための選択肢が増えたともいえるこの状況が様々な特性を持つ学生にどのような影響を与えたのか考察を重ね、特にオンライン授業における字幕表示機能が聴覚障害を持つ学生以外にも役立つこと、ただしその精度によっては、注意をそらしやすい特性を持った学生にとってノイズとなりうるため、あくまで選択肢として提供できるものである必要があることなどが分かった。 その他にも、パンデミック状況下での国内オンライン教育および学習支援についての調査を行っており、発達障害の特性を持つ学習者に合わせた自律的学習スタイルについて、個別の事例から解析を進め、学習方略上の課題をICT活用で克服する支援ツール開発に向けた課題の理解を進めることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年間の研究計画において、前半の中心的課題となる中規模質問紙調査終了までを2020年度の目標としていたが、新型コロナウイルス感染症拡大による多くの大学・教育機関の混乱を踏まえ、質問紙調査の準備までは行ったものの、配布を実施しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症による大学・教育機関の混乱が収束次第すぐに調査を開始できる準備を整えつつ、本研究課題が対象とする教育における現在の状況に照らし合わせて、特にオンライン授業における特性に応じた学修支援についての検討を行うことで、遅れている調査が十分に実施できない場合でも、現在より必要とされる支援についての解明を進めることで最終的な支援ツールの開発に十分な成果を得られるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の予算の大部分を占めていた調査委託費および旅費について、新型コロナウイルス感染症による影響に鑑み研究計画に変更が生じたため支出を行わなかった。調査委託は次年度に調査対象となる教育機関の状況が落ち着き次第すぐに実施する予定である。また、オンライン会議・発表によって旅費を使用しなかった分についても、オンラインでは叶わなかったアドバイス会議などの実施を次年度以降に計画している。
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