本研究ではプログラミング教育における適応学習の導入を目指した。適応学習とは、各学習者の理解度に応じて、最適な学習コンテンツを自動で提供する学習形態を指す。本研究では特に、学習者の演習室内における移動、他学習者・教員間との議論について、学習者のコミュニケーション活動と捉え、コミュニケーション活動を分析することで、適応学習における学習者の理解度測定への導入や精度向上を目指す。 2024年度は研究者の所属の異動に伴い、学習者が提出するプログラムに加え、学習者が考えたテストケースの内容と、口頭チェックによる学習者のプログラム理解度の関係についても調査する環境構築を検討した。また、オンラインジャッジシステムを利用した自学自習環境を提案し、適応学習の環境を演習から自学自習まで含めるように拡張を試みた。加えて、最適な学習コンテンツを提供するためのモデル構築やデータの取捨選択についても調査を行い、既存の手法より精度の高い問題推薦を実現できた。コミュニケーション活動を組み合わせることで、学習者の理解度をより精度高く反映した問題推薦やフィードバックの自動化が期待できると考える。 ソフトウェアの社会的需要の高まりからプログラミング教育に注目が集まる中、教育者の人材不足は喫緊の課題である。適応学習をプログラミング教育に導入することで、教員に負担を強いること無く、学習者一人一人の苦手や得意といった理解度に応じた学習コンテンツを提供でき、社会的意義は高いと考える。また、本研究によって学習のコミュニケーション活動とプログラム理解度の関係が分かることで、効果的なアクティブラーニングの実施にもつながり、本研究の重要性は高いと考える。
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