研究課題/領域番号 |
20K14110
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
渡部 宏樹 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (00849896)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳波 / モチベーション / 動機づけ / 事象関連電位 / ゲーミフィケーション |
研究実績の概要 |
今年度では、脳波計測による事象関連電位という生理的指標を用いて、ゲーミフィケーションを導入した教育アプリケーションにおける課題の達成目標の違いによって、学習者のモチベーションが変化することを明らかにした。ゲーミフィケーションを導入した教育アプリケーションでは、他者と競争して打ち勝つこと(対戦形式)や、事前に設定したスコアを上回る(到達形式)、といった目標設定の方法がしばしば用いられる。しかし、ゲーミフィケーション型教育アプリケーションにおけるこれらの目標設定の違いが、学習者のモチベーションの変化につながるかどうかを生理学的な観点から検証した研究は少ない。今年度実施した研究では、計算課題を行うゲーミフィケーション型教育アプリーケーションにおいて、課題成績が良くなるほど、対戦形式の目標設定におけるモチベーションが高まることを明らかにした。このことは、課題に対する習熟度が高くなれば、他者との対戦を促すことで、学習者のモチベーションをさらに高められる可能性を示唆している。そのため、本研究を通じて、学習者の学習進捗状況に応じた目標設定が、より良いゲーミフィケーション型教育アプリーケーションにつながることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度では、当初予定していた通り、ゲーミフィケーション型教育アプリーケーション中の脳活動を計測することによって、達成目標の違いによる学習者のモチベーションの変化を明らかにすることができた。そのため、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で、ゲーミフィケーション型教育アプリーケーション中の脳活動計測によって、達成目標の違いによる学習者のモチベーション度合いが客観的に評価できることを示してきた。今後の研究としては、これらの脳活動指標に基づく達成目標の設定が、学習者のモチベーション向上につながるかどうかを検証することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、国際会議での発表計画に影響を及ぼしたため。本年度では、現在の研究成果を神経科学の国際会議で発表する予定である。
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