研究課題/領域番号 |
20K14116
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山田 真子 長崎大学, 教育学部, 助教 (20814354)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 理科 / 算数 / 教科等横断的な視点 / STEM |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,小学校における理科と算数との内容の関連付けや横断を図るための方法を検討することである。そのために,昭和16年から昭和20年まで実施された国民学校の教育課程における,理科と算数との関連が重視された教科「理数科」について,教科等横断的・分野横断的な視点から分析する。 2020年度は,「理数科」の理科の教科書として『自然の観察』,『初等科理科』,「理数科」の算数の教科書として『カズノホン』,『初等科算数』を用い,理科と算数の学習内容の配列や学習方法などについて分析を進めた。その結果,理科と算数との相互性や共通性が見られ,具体的には以下のことなどが明らかとなった。 ①「理数科」において,ものごとの見方・考え方・扱い方を正しくし,道理にかなった創造的な生活をするような修練を行うにあたり,事物現象を数量的・空間的に捉えることを中心として学習するのが算数,自然界の事物現象のありのままの姿を捉えることを中心として学習するのが理科であると位置づけられていた。算数と理科は,「理数科」の目的を分担するものではあるが,両者を明確に分けることはできないと明記されるほど,密接な関係性であった。 ②「理数科」の教材は,自然界や生活環境における事物現象から,「理数科」の目的の達成に必要なものを児童の心身の発達に留意して精選するとされ,理科と算数に共通の教材も多かった。 ③理科と算数に共通の学習活動として,事物現象の観察・実験,作図,工作等が重視されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は,新型コロナウイルス感染症の影響で,当初予定していた県外での資料収集が実施できなかった。また,国内外の学会の会議が中止となったり,オンライン開催となったりしたため,当初の計画通りには成果発表が実施できなかった。さらに,後半は病気の治療のため,研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,理科と算数との内容の関連付けや横断を図るための学習内容の配列や学習方法についてのより詳細な分析・検討を進める。そのために,全国の歴史的な諸学校等の資料が必要である。しかし,2021年度も引き続き,新型コロナウイルス感染症の影響で,県外での資料収集が難しい状況である。状況が改善次第,県外での資料収集を実施したいと考えているが,郵送やオンライン等の手段で資料収集を実施することも検討していく。ただし,そのような手段では,入手できない資料があったり,資料の選定に予想以上の時間を要する可能性がある。研究計画の変更や研究期間の延長についても,慎重に検討していく必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で,県外での資料収集や国内外での学会発表が実施できず,旅費や物品費を使用しなかったため,次年度使用額が生じた。 次年度,新型コロナウイルス感染症の状況が改善次第,県外での資料収集や国内外での学会発表を実施し,旅費や物品費として使用したいと考えている。状況が改善しない場合は,郵送やオンライン等の手段で資料収集を実施し,その物品費等として使用する予定である。
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