研究課題/領域番号 |
20K14120
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
杉山 雅俊 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60806561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教員養成 / 理科授業 / 省察 / ゲシュタルト / 授業力量 / 変容的学習 |
研究実績の概要 |
教師知識の形成において,省察が鍵となることが指摘されている。その一方で,学生たちが授業力量の向上に結びつく効果的な省察を行うことが困難であることが明らかにされている。本研究は,コルトハーヘンの指摘,すなわち,教師の専門家としての学びの上で,個人がもつニーズや関心の集合体であるゲシュタルトをいかに形成するかが鍵となることに注目する。本研究では,理科授業の実践に関わる教師知識の形成に焦点を当て,教師志望学生の理科授業実践に関する省察の実態をゲシュタルト形成の観点から解明するとともに,ゲシュタルト形成を志向した省察プログラムを開発・検証し,教員養成においてリアリスティック・アプローチを導入する可能性について検討することを目的としている。 3年計画の第2年次である令和3年度研究は,中学校において教育実習を行った1名の学生を対象にインタビュー調査を実施し,学生が自身の理科授業実践をどのように意味づけるのかについての分析・考察を行った。このとき,変容的学習及びその理論を教師教育に援用した先行研究に基づき,省察・批判的省察・批判的自己省察の3種類の省察の観点から分析を進めた。 また,理科の模擬授業に対する学生の意識を明らかにするために,質問紙調査を実施した。分析の結果,第一に,対象とした学生においては模擬授業の実施を希望するものが5割に満たなかったことが明らかとなり,模擬授業に対する意欲を高められるような手立てを取り入れる必要性が見出された。第二に,自由記述の分析の結果より,模擬授業を実施する前に,模擬授業から何が学べるのかということに対する自身の見方を問い直し,拡げたり深めたりする機会を設ける必要性が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度開始当初は,代表者が担当する科目において実施する模擬授業を研究対象として想定していた。しかし,新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置によって,模擬授業の実施が困難となったために,模擬授業から教育実習へと変更した。このような変更が生じたものの,研究課題の遂行に向けたインタビュー調査を実施し,分析を開始することができたため,概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,教育実習生を対象として分析対象を拡大し,学生たちの省察の内実に迫るとともに,省察を深めるための関わりの在り方を検討する。また,省察を支援する方法論を導出し,学生たちの学びの場に適用することを通してその有効性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初に参加を予定していた学会がすべてオンライン開催となったことが主な理由である。令和4年度は,インタビュー調査の文字起こしや資料収集のための経費として次年度送りにした予算を適切に使用する。
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