研究課題/領域番号 |
20K14122
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
小川 博士 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90755753)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | STEM教育 / STEM教師教育 / STEMPCK |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教師STEM固有のPedagogical Content Knowledge (以下、STEMPCK)の実態を的確に捉えた専門性開発(STEM-Professional Development、以下、STEM-PD)の構成要素を導出することである。この目的を達成するために、次の3つの下位目標を設定した。 1.STEMPCKの概念規定 2.我が国の教師におけるSTEMPCKの実態の解明 3.STEMPCKの構築を目指す我が国のSTEM-PDの構成要素の導出 2020年度は、上記の下位目標1.「STEMPCKの概念規定」に主として取り組んだ。具体的には、STEM教師教育関連の論文を収集しレビューを行った。また、STEM授業デザインの経験をもつ小学校教師4名に対して、教師知識に関するインタビュー調査を実施した。その結果、例えば、STEM授業をデザインするためには、STEMとは何かを知ることやSTEMを統合するイメージをもつことが重要であることがわかった。また、プログラミング教材の扱い方なども理解することで、具体的な学習活動のイメージがもてるようになることが明らかとなった。なお、当初の予定では、国内外への資料収集も実施するはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大のため実施できなかった。そのため、STEMPCKの概念規定は現段階では不十分であるものの、Bekir et al.(2018)等の所論やインタビュー分析の結果をベースに、「STEMコンテンツの知識」「STEM統合の知識」「教育学の知識」「21世紀型スキルの知識」「文脈の知識」などを想定することができている。 上記の取組みと関連した内容については、日本理科教育学会第70回全国大会等において発表した。また、査読付き含め、2本の論文を執筆し掲載に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
STEM教師教育に関わる文献レビューや学会発表等は実施することできた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大のため、国内外の視察や資料収集を行うことができなかった。メールやテレビ会議等のツールを使い、最大限の努力はしたものの不十分な状態である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、主に次のことに取り組む。1つめは、2020年度に実施できなかった国内外への資料収集を実施することである。ただし、新型コロナウイルスの感染状況に大きく依存するため、Web会議システム等の利用も視野に入れ、できる限り進めていく。2つめは、我が国のSTEMPCKの実態を解明するために、質問紙を作成し調査を実施することである。小学校理科等を主として担当する教員150名程度を対象とする。なお、現時点では8月ごろの実施を予定している。データ収集後は、統計的な分析を行い、STEMPCKの実態を探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外の視察、情報収集のための旅費使用を予定していたが、新型コロナウイルスの世界的、全国的な感染拡大により、実施することができなかった。 2021年度は、感染状況を踏まえて適切な時期に実施し、旅費として使用していく予定である。また、質問紙調査を実施、分析を計画しているため、分析に必要なソフトウェア等のために助成金を使用する。
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