研究課題/領域番号 |
20K14124
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
秋山 肇 福井工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (70746172)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水銀整流器 / でんきの礎 / ベルト―ロ整流器 / 柴田雄次博士 / 椎尾詷博士 / 名古屋大学博物館 / 山形大学100年記念館 / IEEE HISTELCON2023 |
研究実績の概要 |
2020年度より開始した福井県立こども歴史文化館所蔵の電気蓄音機コレクションの調査を進め、内蔵真空管の個別調査を踏まえた動作確認実験を行うまで進展した。岩崎通信機株式会社の協力を得て半導体研究開発測定器を用いた真空管(整流管)の特性確認を行い、半世紀以上を経過したサンプルからほぼスペック通りの特性が再現できることを確認できた。 この成果をベースとして日本技術史教育学会に論文投稿を行い、2022年4月に採択・掲載された。 機械式整流器である「ベルト―ロ整流器」に関する調査範囲が広がり、当初の調査先であった名古屋大学博物館に加えて開発製造元である中央製作所株式会社、開発時の人材を輩出した名古屋工業大学の関係各位にご協力頂いた。そのお陰もあり、2022年10月に電気学会顕彰事業「でんきの礎」に選定された。この選定を踏まえて、電気学会より電気技術史研究会への投稿依頼があり、関係者との共同執筆という形で発表を検討している。 水銀整流器に関する国内各機関の調査も地道に進捗しており、2022年度後半には東北地方の大学博物館等での所蔵状況調査に関して着手を開始した。早々に山形大学100年記念館所蔵の機器類から水銀整流器及び各種真空管が再発見され、現在その解析を行っている。これらの成果を踏まえ、米国電気電子学会(IEEE)主催の国際学会(HISTELCON2023)に投稿した。現時点で採否は未決であるが、採択された場合は9月に発表の予定となる。 以上
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福井県立こども歴史文化館での電気蓄音機調査は論文発表をもって一段落と考えている。当初、日本独自の技術(エンドレス再生)を盛り込んだフィルモン社製の電気蓄音機に関する予備調査を行ったが、電気回路関連での希少性は特に無く今回の調査からは除外する。 ベルト―ロ整流器に関しては当初想定していなかった「企業で稼働している現役機器」が発見されたことから、当該同社の経営者に歴史的な意義がある旨をご理解頂きベルト―ロ整流器の性能(低リップル特性)を実地に測定する段取りを整えている。この成果は概要で報告した電気学会・電気技術史研究会にて報告の予定である。 IEEE HISTELCON2023に投稿した案件(日本における水銀整流器の研究開発とその背景)について、採択へ向けてデータ類の整理と原稿推敲に注力する。 以上
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今後の研究の推進方策 |
今年度(2023年度)は当初の計画通り、総まとめの位置付けとなる。大きな柱は「ベルト―ロ整流器に関する技術史面での貢献」と「水銀整流器に関するこれまでの調査結果のまとめ」の2テーマである。 前者について、ベルト―ロ整流器は現在その名前はおろか、内容に関してもほとんど知る機会が無くなってしまったことからまずは研究開発から量産に到る経緯をまとめた学術論文の出版を図る必要がある。その後、関係者による現役機器の動作説明等を動画に編集し、大学博物館等での広報活動へと展開していきたい。 水銀整流器に関しては現存する器体の確認とその来歴調査が本科研費活動の骨子であったが、応用範囲が後半であり、当時の社会生活に不可欠な社会インフラであったことを再認識した次第である。この成果は書籍として公刊することで電気工学の研究者に限ることなく幅広い読者層に訴えるべき素材と成り得るものと考えている。内容に関しては今後検討を深めていきたい。 以上
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会(IEEE HISTELCON2023、2023年9月開催予定)での発表が決定した場合、旅費・滞在費及び現地での調査費用等で次年度使用額の7割を使用する予定である。 残り3割については、国内での調査及び学会発表に係る旅費・滞在費、及び論文投稿に要する諸費用として使用する予定である。 剰余金が発生する見込みとなった場合は書籍出版に関する準備の為に使用する予定がある。
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