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2023 年度 実施状況報告書

トランスサイエンス時代の技術者の市民的知性育成に向けたグループ対話型授業の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K14125
研究機関宇部工業高等専門学校

研究代表者

小川 泰治  宇部工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (40824975)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード技術者倫理教育 / 哲学対話 / 市民性教育 / ファシリテーション / 高専
研究実績の概要

本研究の当初からの目的は主に以下の3点である。①学生ファシリテーターのスキル育成のためのカリキュラム開発。②対話を可視化し、グループでの対話を促進するワークシート教材の開発。③市民的知性育成のための哲学対話を応用したグループ対話型授業の開発。
2023年度は主に①および③について取り組んだ。①については2022年度と同様、勤務校の「プロジェクト学習」において哲学対話のファシリテーションを主題とした授業実践を、複数の研究協力者を招聘しながら行い、複数の研究者や実践者また学生らとともに研究会を実施した。2023年度はとりわけ「技術」をテーマとする対話を多く実施したことで、高専の学生とどのようなテーマや素材で対話をすることが関心を惹きやすいかについても一定の知見を得ることができた。また、②や③に関わる点として、対話を始める際のアイスブレイクについても学生とともにいくつかのパターンのものを開発することができた。
③については、その前提となる、「技術者の市民的知性育成のための哲学対話」について、豊橋技科大の岩内章太郎准教授との連携を深め、「ネガティブ・ケイパビリティ」の観点からその意義を論じた論文が採択されるに至った。また、豊橋技科大との実践交流を通して岩内准教授の専門である現象学的な本質観取の手法の理解を深めることで、より手続き化しやすい対話の手法についても具体的に理解を深めることができた。こういった研究により、あらためて本研究によって目指すべき「技術者のための哲学対話」のあり方を再確認することができた。
研究最終年度となる2024年度は、引き続き実践を進めながら、様々な場面での技術者教育に対応可能な対話型授業のデザインについて、具体像を提示することを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本務校の業務過多により研究時間を十分に拠出できなかったこと、および、当初の目的遂行に関連した哲学対話についての理論的研究に予定よりも多くの時間を割くことになったことから、研究目的に沿った論文や授業手引き等の成果を作成することができなかった。

今後の研究の推進方策

研究実施期間を延長し、2024年度が研究最終年度となる予定である。これまでの研究期間に行ってきた本務校での哲学対話の様々な実践、ならびに理論的研究の成果を合わせながら、技術者の市民的知性育成という課題に対して、様々な技術者教育の場面で応用可能な具体的な哲学対話の実践方法を示すことを目指す。

次年度使用額が生じた理由

本務校での業務多忙や研究内容の理論的な文献研究に時間をかける必要性から、予定していた旅費や人件費の使用が一部実施できなかった。また、物品費や人件費の一部については関連する研究テーマで獲得していた資金(豊橋技科大高専連携プロジェクト)を活用している。
次年度は、研究に必要な洋書の購入や、学生や学外の研究協力者の定期的な招聘、国内および海外の哲学対話を実践している教育機関への旅費のために「次年度使用額」を使用していく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 技術者教育における哲学対話の実践:「ネガティブ・ケイパビリティ」に注目して2024

    • 著者名/発表者名
      小川泰治・岩内章太郎
    • 雑誌名

      『工学教育』

      巻: 72(4) ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] いつから「哲学対話」なんて呼ぶようになったんだっけ?:名称の定着をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 学会等名
      哲学プラクティス連絡会第9回大会
  • [学会発表] 対話型政治教育としての高校生との哲学対話と「隠れたカリキュラム」[ラウンドテーブル:対話型政治教育の意義と課題ー九州での実践を踏まえてー]2023

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 学会等名
      教育哲学会第66回大会
  • [図書] もし友だちがロボットだったら? : 哲学する教室のつくりかた 30の授業プラン2023

    • 著者名/発表者名
      ピーター・ウォーリー、永井玲衣、小川泰治、古賀裕也、後藤美乃理、田中理紗、得居千照、西山渓、堀越耀介
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      晶文社
    • ISBN
      9784794973894

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公開日: 2024-12-25  

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