研究課題/領域番号 |
20K14130
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
森泉 慎吾 帝塚山大学, 心理学部, 講師 (50735066)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 安全教育 / 効果 / 不安全行動 / 事故 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、事故に繋がりうる不安全行動について、これまでに数多くの先行研究によって実施されてきた教育的介入は本当に効果的であったのか、また教育的介入の何をもって「効果的」と見なすかの2つの問いに着目した研究を行うものである。教育的介入の効果を目的とした研究成果においては、出版バイアスの影響を受けやすいと考えられるため、その効果の大きさについては検証の余地があると考えられる。本研究課題においては、それらの問いについて心理学的に検証することで、安全教育に関する学術的知見を提供するとともに、研究知見の現場への還元を目指す。 研究課題2年目の令和3年度においては、昨年度に引き続き、安全教育に関連する文献収集を実施した。具体的には、安全教育を実践して報告する研究や、その効果を心理学的に検証している研究を中心に、産業・組織心理学や交通心理学のみでなく、人間工学や安全工学などの関連書籍や論文の検索エンジン等を利用して収集した。収集・分析の途中ではあるが、「効果がない」ことを明示する文献はほとんど見つけられていない。また、研究協力を得られたある企業(製造業)の従業員に対して、ヒヤリング調査を実施した。具体的には、その企業で実施されている安全教育や安全対策に対する従業員目線からの効果、また、労働災害後に企業内で設定された「新たな安全ルール」に対する従業員の意識や規則遵守に対する心理的コストなどをヒヤリングした。抽出された心理要因は、教育的介入の失敗に関連する要因とみなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度同様、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、所属先でも出張制限が掛けられるとともに、コロナ対応に関わる本務での業務量が増加し、本研究課題に費やせるエフォートが当初の予定よりも小さくなったことが理由として挙げられる。その一方で、上述の通り新たな研究フィールドを獲得し、当初の計画に沿った研究を進められる見込みがたったことは本年度の大きな収穫である。
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今後の研究の推進方策 |
上述を踏まえ、令和4年度においては、昨年度調整した新たな研究フィールドと連携し、安全教育失敗に関わる原因についての調査を計画・実行する。同時に、外部の研究機関と連携し文献研究を進めるなど、遅れている調査研究を本格的に実施する予定である。令和4年5月時点で、学内の制限や国内での感染防止に対する動きは沈静化してきているため、少しずつ当初の計画に沿った研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、参加・発表を予定していた国際学会(ICP2020)がオンライン開催となり、出張費がゼロになった。また、国内での各学会においても、軒並み学会はオンライン開催となり、経費は学会参加費のみであり、出張費が掛からなかった。さらに、新型コロナウイルスによる出張制限や連携・研究協力を得ている外部機関も入構制限などがあり、打ち合わせはオンラインになる(先方にその環境がある場合のみ)、また研究訪問自体が延期するなど、研究計画の実施が大幅に遅延している。 令和4年度5月現在で、日々の感染者数は多いものの、社会的にはコロナの影響は少しずつ鎮静化する傾向であるため、学会や研究会、打ち合わせも対面開催の方向で進んでいるケースが多い。そのため、令和4年度においては、当初の計画通りに研究実施や成果発表を進められる見込みである。
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