研究課題/領域番号 |
20K14131
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平川 真 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 講師 (50758133)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コミュニケーション / 間接的要求 / 言外の意味 / 解釈についての信念 |
研究実績の概要 |
本研究は、言外の意味を用いたコミュニケーションの例である間接的要求をとりあげ、聞き手の解釈について話し手がもつ信念 (以下、解釈についての信念) に着目して、コミュニケーションの成立について検討するものである。解釈についての信念とは、たとえば「暖房をつけて」という要求の意味で「この部屋寒いね」と発話した際に、「聞き手は暖房をつけてと理解するだろう」と考えることに相当し、自分の発話に対する聞き手の解釈についての信念を指す。 2020年度は、上記の「解釈についての信念」についてその正確さの測定方法の開発、そして、解釈についての信念の正確さと関連する要因の検討を目的とした。これまでに間接的要求についての具体的な会話場面を40場面作成し、その解釈率のデータを取得している。各場面の解釈率は94%から12%まで幅があり、多くの人が要求としての意味を解釈する場面から、多くの人が要求としての意味を解釈しない場面が作成できている。また、繰り返しの調査を行うことによって、これらの解釈率が安定した値であることを確認している。 解釈についての信念の正確さは、間接的要求についての具体的な会話場面について、「この発話を要求として解釈する人はどの程度いると思うか」を尋ね、その解釈率を予想させ、実際の解釈率とのズレとの差を算出することで、正確さを定量化することができる。 解釈についての信念の正確さについての検討は、具体的な会話場面をさらに追加し、2021年度に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染拡大にともない、オンライン授業への対応等、例年には無い追加の作業が発生し、エフォートが当初の予定通りに割くことができず、調査の実施が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、解釈についての信念の正確さと関連要因の検討および個人差の類型化を行う。また、本研究においては2022年度に大学生を対象とした実験室での実験を行うことを計画に含めていたが、コロナウィルス感染拡大状況によっては、実験室での実験が実施できない可能性がある。これに備えて、オンラインでの実験の可能性等を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染拡大にともない、オンライン授業への対応等、例年とは異なる業務が発生したことにより、エフォートを予定通りに割くことができず、2020年度に予定していたWeb調査が実施できなかった。そのため、Web調査用の予算が、次年度使用額として発生した。次年度使用額は予定通り、Web調査の実施費用として使用する。 2021年度分の予算は、当初の計画を進めるために使用する。
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