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2021 年度 実施状況報告書

在留外国人への援助政策の賛意を促進するには:ステレオタイプの内容に注目して

研究課題

研究課題/領域番号 20K14134
研究機関高崎経済大学

研究代表者

田戸岡 好香  高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (10794018)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードステレオタイプ / 偏見 / 在留外国人 / 行動免疫システム / 感染症脅威 / メタ認知
研究実績の概要

本研究の目的は,在留外国人に対するイメージの改善法を検討し,援助政策への賛意を生み出す方略を社会心理学の観点から考えることである。2021年度は以下の3つの視点から研究を実施した。
1点目に,在留外国人に対するネガティブ耐性の認知を検討した。社会経済的地位の低い集団成員はネガティブな出来事に遭遇する経験が多いために苦境に強いと判断され,痛みやネガティブな出来事に対する耐性があると認知されやすいことが知られている。そこで,まずこの知見の概念的追試を行った。その後,日本における在留外国人に対してもこの知見があてはまるのかを検討した。その結果,地位や人種によるネガティブ耐性の差は見られなかったが,地位が低い人および在留外国人はポジティブな出来事に満足しやすいと認知された。
2点目に,ワクチン接種が在留外国人に対する偏見に及ぼす効果を検討した。コロナ禍における外国人への偏見は感染症脅威が一因となっていることが2020年度調査から明らかになった。そこで,ワクチンを接種することで感染症脅威が低減し,偏見が弱まるかを調査した。その結果,65歳以上の高齢者を対象とした調査において,ワクチン接種が完了していない感染嫌悪が高い人は外国人に対する偏見が強かったが,ワクチン接種が完了した人では偏見が強くなかった。ワクチンが外国人に対する偏見を低減する可能性が示唆された。
3点目に,外集団成員から理解されているというメタ的認知が,外集団に対する態度に及ぼす効果を検討するために,日本人と在日コリアンの関係性を題材として実験を行った。在日コリアンに実験に参加してもらい,「在日コリアンは日本人から理解されている」という記事を読んだ場合,日本人に対するポジティブな感情が上昇した。ただし,操作チェックが不十分であった点や,感情以外の指標で有意差は得られなかったことから,結果の解釈には慎重を期す必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定どおり,ネガティブ耐性に関する研究を行うことができた。実験結果は先行研究と一致しない点も見られたため,来年度以降も詳細に検討していく必要がある。加えて,態度改善に関する研究として,ワクチンの効果に関する研究や,来年行う予定のメタステレオタイプに関する研究にも着手することができた。

今後の研究の推進方策

来年度はメタステレオタイプが援助政策への賛意に及ぼす影響について検討していく。加えて,ネガティブ耐性に関する実験を引き続き行い,在留外国人に対する非人間化に焦点を当て,態度改善の方策を検討していきたい。
なお,2020年度に行う予定だった在留外国人に対するステレオタイプの内容を詳細に検討する調査は新型コロナの流行の影響で実施を見送っていた。感染状況を考慮しつつ,こちらの調査も進めていくこととする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響により,国内および海外の学会に対面参加できなかったため,旅費を執行できなかった。また,2020年度に行う予定だった外国人に対するイメージを検討する研究は,感染拡大の影響を考慮し,今年度も実施を見合わせた。
来年度は可能な限り学会の対面参加を行い,研究成果の報告を行う。また,状況を考慮しながら,イメージ研究を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 募金広告の内容が在留外国人に対する募金行動と援助政策の賛意に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      田戸岡好香・石井国雄
    • 学会等名
      日本心理学会第85回大会
  • [学会発表] 新型コロナワクチンの有効性の認知と外国人態度の関係:行動免疫システムの観点から2021

    • 著者名/発表者名
      田戸岡好香・石井国雄・樋口収
    • 学会等名
      日本社会心理学会第62回大会

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公開日: 2022-12-28  

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