研究課題/領域番号 |
20K14134
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
田戸岡 好香 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (10794018)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ステレオタイプ / 偏見 / 在留外国人 / メタステレオタイプ / 仮想接触 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,在留外国人に対するイメージの改善法を検討し,援助政策への賛意を生み出す方略を社会心理学の観点から考えることである。2022年度は以下の3つの研究を行った。 1つ目に,メタステレオタイプが在留外国人に対する援助に及ぼす影響を検討した。具体的には,在留外国人が日本人に対してどのようなイメージを抱いているかという内容を操作し,在留外国人に対する援助政策への賛意を尋ねた。実験の結果,メタステレオタイプの操作は成功していたが,メタステレオタイプは直接的に援助政策への賛意に影響を及ぼさなかった。ただし,日本人の人柄が優れていると外国人から思われているというメタステレオタイプを抱いた場合,外国人への憐み感情が増加し,援助政策への賛意が上昇した。 2つ目に,外国人と仲良く交流する様子を想像する仮想接触が偏見に及ぼす影響を検討した。実験では,日本にいる中国人と交流する様子を思い浮かべる操作を行った。実験の結果,元々中国人との接触経験が多い人において,仮想接触をすることで中国人に対する親密感が上昇した。 3つ目に,在留外国人に対する痛み耐性の認知バイアスを検討した。私たちは自分とは異なる人種の人に対して,身体的な痛みをあまり感じていないというように判断しやすいことが知られている。そこで,日本における在留外国人は,痛みに対する耐性や精神的たくましさがあると認知されるのかを検討した。実験の結果,在留外国人が痛みに耐性があるというバイアスは見られなかったが,精神的たくましさは日本人よりもあるだろうと判断されていた。今後,たくましさの認知が在留外国人への援助政策に及ぼす影響についてさらに検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり,メタステレオタイプに関する研究を行うことができた。また,昨年度から行っているたくましさの認知に関する研究も継続し,知見を蓄積することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,たくましさの認知に関する研究を引き続き行い,在留外国人に対する非人間化に焦点を当て,援助政策の賛意に及ぼす影響を検討していきたい。 なお,2020年度に行う予定だった在留外国人に対するステレオタイプの内容を詳細に検討する調査は新型コロナの流行の影響で実施を見送っていた。新型コロナが5類に移行し,人々の意識も日常に戻ったと考えられるため,こちらの調査も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に行う予定だった在留外国人に対するステレオタイプの内容を詳細に検討する調査は新型コロナの流行の影響で実施を見送っていた。感染状況も落ち着いたため,2023年度に調査を行うこととする。
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