研究課題
若手研究
近年、サイコパシーも相手との将来性を考慮して行動することが明らかになりつつある。しかし、サイコパシーが対人関係の継続をいかなる基準で決定しているかは不明なままである。本研究では、関係継続の基準が相手からの返報の期待、つまり互恵性の期待であるとの仮説を立てた。実験の結果、サイコパシーは互恵性の期待に応じて内集団に対して協力的に振る舞う傾向があるということが明らかになった。
社会心理学
サイコパシーは自己中心的で自己利益を追求する特徴を持つことから、相手との関係性における将来性を考慮せず、短期的な自己利益最大化を目指した行動をすると考えられてきた。本研究では、サイコパシーであっても互恵性の期待に応じて内集団に対して協力的に振る舞うことを明らかにした。つまり、サイコパシーは長期的な自己利益を追求するために戦略的に振る舞うことができる可能性を提示している。本研究課題の結果がサイコパシーはなぜ長期的な関係継続が困難であるのかという問題を解決するための一助となることが期待される。