研究課題/領域番号 |
20K14143
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
白井 真理子 信州大学, 学術研究院人文科学系, 助教 (70802271)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 悲しみ / 身体表出 / 泣き / オノマトペ / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
本研究は,悲しみに適した身体表出を,実際に身体を使って表出を促すことによる,悲しみの低減効果を検証するため,身体表出の運動パターンに新たに着目し,悲しみ場面との関連性がどのように記憶されているのかを明らかにすることを目的としている。
本年度は,悲しみのサブタイプに伴う身体表出特徴について,先行研究 (Shirai & Soshi, 2021) に基づき,上半身の動きに着目し,各サブタイプ特有の身体表出特徴を明らかにするための実験を行った。また,身体表出傾向は単純に感情を表すだけでなく,個人差により変動することが予想されるため,あわせて個人差の検討も実施した。現在,結果を分析中であり,学会発表および論文の投稿を準備中である。 また,昨年度悲しみそのものの特徴をより詳細に明らかにするため,幅広い世代に対して悲しみエピソードの特徴を検討する調査を行った。ネットワーク分析を用いて,世代間の悲しみエピソード構造を比較した。その結果,悲しみエピソード記憶のネットワーク構造に関しては,世代が上がるほど特定語彙にその他の語彙との関係性が集中する傾向を示した。今年度は,この研究内容について論文にまとめ,現在投稿中である。 加えて,悲しみの場面と特定の身体表出および泣きのオノマトペとの関連から示された知見を踏まえ,悲しみを表すオノマトペの音韻特徴を明らかにする調査を実施した。今後は,悲しみの音韻特徴を同定し,身体表出がなされる場面との関連について,検討することを予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は,悲しみと身体表出の関連という研究計画に沿って,実験を実施することができた。また悲しみの特徴をより詳細に明らかにするために実施した調査結果について,論文執筆および投稿を行ことができた。したがって,おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針として,22年度および23年度に実施した研究を論文にまとめていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定どおりに研究結果をまとめることができなかったため,次年度に使用する額が生じた。この次年度使用額は,実施した研究成果をまとめるための費用として使用する予定である。
|