研究課題/領域番号 |
20K14153
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
高橋 節子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 学部教育研究協力員 (50735305)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 物理的空間 / 既婚女性 / プライバシー / プライバシー / well-being / 発達 / 住宅 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究は、人が心理的に自立し、心の健康(well-being)を維持し、自分らしく自己実現して生活するために、「自分固有の物理的空間」を持つことが必要である、すなわち、物理的空間が人の心理的な自立や発達を支えうると言う仮説を実証することを目的としている。本研究では、研究の対象を、18歳以下の同居する子を持つ既婚女性とする。先行研究において、彼女らは家族成員の中で最も「自分固有の物理的空間」を所有することが難しいことが指摘されている(上野,2002)。 2022年度の前半は、ウェブ調査の実施の準備として、先行研究を検討し、調査で使用する質問項目の選定と調査対象者の選定を行なった。 「自分固有の物理的空間」に関する質問は、「自分固有の物理的空間」の有無、有している場合、どのような空間か、その空間で何をしているのかについて質問することとした。また、比較のため、夫の「自分固有の物理的空間」の有無と、子ども室の有無についても尋ねることにした。 心理的自立と心の健康に関する心理測定尺度は、心理的なプライバシー志向性は「プライバシー志向性尺度」(吉田・溝上,1996)により質問することにした。加えて、心理的自立は、「家族の個人化尺度」(松永,2015)、自立に関連する活動を欲する程度は、「達成動機尺度」(Lang & Fries, 2006)、心の健康は、WHOのSubjective Well-Being Inventoryを簡便化した「主観的幸福尺度」(伊藤ら,2003)を使用し、測定することにした。調査対象者は、同居する末子の年齢が18歳以下の既婚女性とし、国勢調査を参考に就業状態を考慮し、選定することとした。 2022年度の後半は、ウェブ調査の実施と、調査結果の分析を行った。調査協力者は、18歳以下の同居する子どもがいる既婚女性563名である(平均年齢39.0歳)。詳細は分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、子どもを持つ既婚女性の住宅(自宅内)での「自分固有の物理的空間」の確保状況と、彼女たちの心理的自立とwell-beingの維持、自己実現との関連を明らかにすることを目的としている。新型コロナ感染症の拡大により、日本各地では、2020年度および、2021年度のほとんどの期間で緊急事態宣言、または、まん延防止等重点措置が発令され、在宅勤務等が推奨されことにより、住宅の居室の使われ方に変化が生じていたと考えられた。そのため、住宅(自宅内)での「自分固有の物理的空間」の確保状況について、正確なデータを取るのが難しいことが予想された。 当初は、2020年度に予備調査を行い、2021年度にウェブ調査を実施し、2022年度はウェブ調査の結果を踏まえ、インタビュー調査を実施する予定であった。しかし、コロナ禍の影響を最小限に留めたいと考え、ウェブ調査を2022年度に実施したため、研究の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度前半に、ウェブ調査の分析を進める予定である。 その結果を踏まえ、2023年度後半から、18歳以下の同居する子どもを持つ既婚女性を対象にインタビュー調査を実施し、より具体的に自宅内での「自分固有の物理的空間」の確保の状況と、その物理的特徴、確保の経緯などを明らかにする。さらに、「自分固有の物理的空間」を確保することが、心理的自立、心の健康(well-being)、自己実現とどのように関連しているのか検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度、および2021年度は、ほとんどの期間で、新型コロナウィルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言、または、まん延防止等重点措置が発令されていた。そのため、在宅勤務等が推奨され、住宅内の居室の利用状況に変化が生じ、この期間に調査を実施しても、既婚女性の「自分固有の物理的空間」に関する正確な調査結果を得ることが困難であると考え、調査の実施を見合わせた。そのため、ウェブ調査は2022年度に実施した。このような研究の進捗に遅れが出たことから、研究費の次年度の使用が生じた。 2023年度は、ウェブ調査の分析結果に基づき、インタビュー調査を実施する予定である。インタビュー調査では、調査協力者への謝礼、インタビュー調査の音声の文字起こしのための費用や、「自分固有の物理的空間」の記録のため、CADなどを利用し図面を作成する費用に科学研究費を使用する。また、これまでの研究成果の発表のための論文投稿費や、英文の校閲費用としても科学研究費を使用する予定である。
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