研究課題/領域番号 |
20K14170
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
池田 彩夏 専修大学, 人間科学部, 講師 (30835707)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 幼児 / 児童 / 集団責任 / 発達プロセス |
研究実績の概要 |
本研究では、(1) 個人の行動の結果としてネガティブ,あるいはポジティブな事象が引き起こされた際に、幼児・児童が第三者視点から、傍観者に対して責任を集団に帰属し、賞罰の判断を調整 するのか、さらに(2)集団 メンバーの一員として幼児が行動するときに、幼児自身が自分の行動をどのように評価するのかを検討している。2年目は2つの問いを明らかにするため、オンライン調査によるデータ収集に努めた。 (1)に関しては、ネガティブな事象とポジティブな事象に分けて検討を行っている。ネガティブな事象を扱った検討では、3-8歳児を対象にパペットA(加害者)がパペットB(被害者)に害を加える場面において、その様子を傍観しているパペットC(傍観者)に対する評価および罰を与えるか否かの判断を求めた。その結果、発達に伴い、傍観者に対する罰の程度が重くなることが明らかとなった。この成果は国際学会(BCCCD2022)にて報告を行った。ただし、物理的に傍観者が援助ができない場面では傍観者への罰の程度は軽減されるという結果も得られた。さらに、傍観者と他の登場人物の関係性が傍観者に評価に影響するのかについて、引き続き検討を行っている。一方、ポジティブな事象を扱った検討では、パペットA(援助者)がパペットB(被援助者)を援助する場面において、その様子を傍観しているパペットC(傍観者)に対する評価および報酬を与えるか否かの判断を求めた。その結果、3-8歳児は、助けを必要としている人がいる場面で援助をしないことは好ましくない行動であると捉えていることを示す結果が得られた。 (2)に関しては、養育者と参加児の2人でゲームに参加してもらい、ゲームの結果に対する貢献度合いを養育者と参加児がどのように評価するのかを検討した。その結果、養育者に比べて参加児は自分の貢献度合いを高く評価する傾向があることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により,初年度の調査参加者の募集及び調査の実施が予定よりも遅れるとともに,十分なデータ収集に至らなかったため,研究全体の進捗はやや遅れていると判断した。しかし,2年目は順調にデータ収集を進め,その成果を報告することができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も新型コロナウイルス感染症の蔓延が予想されるため,引き続きオンラインでの調査を行うことにする積極的に調査参加者募集を周知し,不足しているデータの取得につなげたい。また,得られたデータを学会で発表するとともに,論文投稿の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により,情報収集のための学会参加の旅費等が発生しなかったことに加え,初年度の実験実施数が当初の予定よりも少なくなったため,次年度 使用額が発生した。今年度実施される実験において,参加者募集のための費用および実験参加謝礼として使用する予定である。
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