本年度の目的は、これまで行った調査結果をまとめ、学会発表や論文投稿を行っていくことである。前年度に行った調査結果について教育心理学会にてポスター発表を行った。そして再度分析を行った結果、教師への援助要請に対する肯定的働きかけは教師への自律的援助要請と依存的援助要請を促進すること、援助要請の利益を媒介して教師への自律的援助要請を促進することが示された。援助要請の利益を感じているほど、クラスメイトへの自律的援助要請と依存的援助要請を行うことも明らかになった。援助要請のコストがクラスメイトへの自律的援助要請を抑制することも明らかになった。これらの結果について、2024年度に論文投稿していく予定である。 2020年度以降はコロナ禍の中で研究協力校において断続的に休校や分散登校、学級閉鎖があり、中学校において予定していた調査を行うことができなかった。しかし、コロナ禍だからこそ学校のニーズがあり実施できた3回に渡る縦断調査のデータを得ることができ、現在も分析中である。また、コロナウイルス感染拡大の余波を受け、研究計画の一部を変更し、相談行動と教師の働きかけについて、家族関係との関連を合わせて検討する研究を実施した。子どもの相談スキルは、保護者の受容的な養育態度、保護者の統制的な養育態度、友人関係に対する自信、教師への相談を促す働きかけによって高まることが示された。また、保護者の受容的な養育態度を低く感じている子どもでも、教師への相談を促す働きかけを感じているほど相談スキルが高まることも示された。 以上の内容について、すでに国際学会と国内学会での発表を行っており、論文投稿していく予定である。
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