研究課題/領域番号 |
20K14179
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
AN TINGTING 筑波大学, 人間系, 助教 (60801884)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 留学生 / 学生相談 / 援助要請 |
研究実績の概要 |
本研究は多様性を持つ留学生の援助要請の特徴を理解するために,類型化にキーとなる特徴と彼らが選考する組織的条件を探る。その上で,援助要請 の類型化を行い,留学生の援助要請を規定する要因を明らかにする。これらを踏まえて, 留学生の援助要請を考慮した学生相談ガイドラインを提供することを目的としている。 これまでは、留学生の援助要請を理解し類型化するのに重要な特性を特定するとともに,彼らにとって相談しやすい組織的条件を明らかにすることを目的とし,レビューを行った。その結果,国内外ともに,特に日本において留学生の援助要請関連研究が不十分であることが示された。研究対象がアジア人留学生に集中していること,その中でも,留学生集団の中で数の多い中国人留学生を対象とする研究が多いことが示された。また,アジア人留学生に関して,アジア諸国の文化差異が無視され,アジア人留学生が一括されがちということも明らかになった。留学生の援助要請の規定要因として,アジア文化的価値観,民族的アイデンティティ,言語能力などの要因が抽出された。好まれる援助提供者やセラピストの特性に関しては,アジア人留学生は,同じ/近い民族背景を持つセラピストをより好むことがレビューで明らかになった。 コロナ禍では、留学生の状況も大きく変わり、まず留学生にそのような影響があったのかから把握しようとして、レビュー研究を行った。その結果、留学生の援助要請は促進されるパターンと抑制されるパターン両方存在する可能が示唆された。また、留学生の援助要請を理解するためには、彼らが留学する前にどのような援助要請の特徴を有しているかを理解することが重要であることも明らかになった。 このような結果に基づき、2023年度は、留学生の中で一番大きな割合を占める中国人学生を対象に、調査を行った。その結果を論文化し、現在投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は調査を実施し、結果を投稿している。現在は次の調査を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
これからは,異なる属性(出身国,言語など)を持つ留学生を対象に質問紙調査を用いて、留学生の援助要請の規定要因を明らかにしていく。また、留学生の援助要請を類型化する際にキーとなる特性を特定することも期待できる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度は研究調査のために費用が発生する。具体的には,調査参加者への謝礼や資料収集などのために使用する。また,研究結果報告するために、文献、書籍、印刷料金などに使用する。
|