研究課題/領域番号 |
20K14180
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大川 翔 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (40867214)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不安症 / 子ども / 保護者 / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
2021年度は、不安症の子どもに対する保護者による認知行動療法プログラム(Guided Parent Delivered Cognitive Behaviour Therapy: GPD-CBT)のパイロット研究の結果の解析および考察を行い、論文の執筆を進めた。また、介入プログラムの有効性を正確に測定するために、子どもの不安症状の日常への影響を測定するための日本語版尺度を開発し、妥当性と信頼性の検討を行った。 GPD-CBTのパイロット研究は12名の不安症の子どもを持つ保護者に実施した。その結果、英国で開発された原版GPD-CBTと同等の効果量を示すことが明らかとなった。原版GPD-CBTの開発者であるCathy Creswell教授と本邦におけるGPD-CBTの有用性について議論を重ね、論文の執筆を行った。現在、論文は国際誌に投稿中である。日本版GPD-CBTは子どもへの負担を抑えつつ、子どもの不安による問題の改善に寄与する可能性が示唆された。 GPD-CBTのパイロット研究に関する論文執筆に加え、プログラムの有効性を測定するために、子どもの不安の日常への影響を測定する日本語版尺度(Child Anxiety Impact Scale-parent version: CAIS-P)の作成を行い、論文の執筆および投稿を行った。日本語版CAIS-Pは、原版を実施した実績のあるオックスフォード大学のTessaReardon研究員とSophie Giles研究員の協力の基、作成した。質問紙調査を行い、日本版CAIS-Pは十分な妥当性と信頼性を有することが明らかになった。CAIS-Pは欧米の臨床研究でよく使用される尺度であり、今後日本で実施する臨床研究で不安による生活支障度を的確に測定する上で重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も引き続きコロナウィルスの影響で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などがあり、予定よりも研究の進行が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、GPD-CBTのパイロット研究論文の国際誌への採択を目標とする。また、パイロット研究の結果を踏まえ、マニュアルの修正を行っていく。 また、保護者が回答する「子どもの不安の日常への影響を測定する日本語版尺度(Child Anxiety Impact Scale-parent version: CAIS-P)」の妥当性と信頼性は示されたが、子どもが回答する「子どもの不安の日常への影響を測定する日本語版尺度(Child Anxiety Impact Scale-child version: CAIS-C)の開発は未だされていない。プログラムの有効性を正確に測定するためにもCAIS-Cの開発を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で研究が遅れたこと、学会がオンラインで開催されたことから、2021年度は使用予定額を下回った。翌年度は研究の調査費用や論文の投稿費用など、今年度遅れた分の研究のために使用していく。
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