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2022 年度 実施状況報告書

健康経営的視点に基づく労働者に対するマインドフルネスに基づく介入の効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K14187
研究機関徳島大学

研究代表者

甲田 宗良  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 講師 (50736189)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード健康経営 / マインドフルネス / メンタルヘルス / ワークエンゲージメント / 睡眠-生活リズム / オンラインプログラム
研究実績の概要

本研究課題の目的は,マインドフルネスに基づく介入(Mindfulness-based intervention: MBI)が,健康経営施策に及ぼす影響を検証することであった。
令和4年度は,MBIの実施を検討している事業所の管理者層(4名)を対象にオンラインおよび対面によるインタビュー調査を行った。令和3年度に得られた知見(「社員が継続して取り組める簡易でローコストな取り組みが必要」,「健康経営の施策は,健康や働き方に良い影響を及ぼす理由(メカニズム)を理解しないと,続かない」)と整合する結果が得られた。また,マインドフルネス適用への期待は全ての対象者が有していた。しかし,導入のコストや安定的な継続への懸念も示していた。以上の点より,①簡易さ,コストの低さ,安定的・継続的な運用,②正確かつ明解なメカニズムの説明が,健康経営施策への導入に必要であることが確認された。
そこで,オンラインによるマインドフルネス瞑想会を,週に1回30分程度,参加可能な社員のみの参集形式で実施する構造で実施した。インタビュー調査に参加した企業より,関心のある社員が事前登録を行った。そして,都合の良い時だけ瞑想会に参加し,①マインドフルネスの説明,②トレーニングの実施,③体験の共有と質疑応答を行った。64名の社員が登録し,全32回の瞑想会を実施した。1回あたりの参加者数は,平均9.2名であった。効果指標として,毎回の気分チェックや感想聴取(webアンケート)を行った。現時点で,解析を進めている。
なお,本年度は,インフラを担う事業者,とくに交代勤務を伴う職員の生活リズム,働き方,メンタルヘルスの関連を調査し,このプロセスにマインドフルネスが及ぼす調整効果を検証するweb調査を実施した。さらに,一般労働者を対象に,マインドフルネス特性とプレゼンティーズムの関係を検討するweb調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度は,令和3年度に実施したインタビュー調査を追加し,健康経営施策にマインドフルネスを導入するためのニーズやアイディアを整理した。得られた知見をもとに,オンラインによるマインドフルネス瞑想会を提案し,実施している。当初構想していた研究計画とは異なり,複数企業から任意の参加者が,オープングループ形式で参加しており,一定のサンプルサイズを確保することが困難であった。そのため,解析に耐えうるデータの収集に時間を要したため,令和4年度末の段階で研究を完了することができなかった。
令和4年度は,健康経営施策を導入する企業以外の対象者ではあるものの,労働者を対象に,マインドフルネス,メンタルヘルス,働き方(とくにワークエンゲージメント),睡眠-生活リズムとの関係を検証する調査研究も実施した。主要な解析は実施できたが,一部の解析や研究成果の公表には時間を要している状況である。
これらの事情もあり,補助事業の延長も申請した。以上より,「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

令和5年度は,インタビュー調査の整理および成果の公表を行う。また,このインタビュー調査の結果,対象企業のニーズを踏まえた,オンラインによるマインドフルネス・プログラムを開発しており,継続的に実施し,対象者数および解析対象のデータをさらに集積する。令和5年度の後半より,本格的なデータ解析を進める予定である。
また,一般労働者を対象とした基礎調査を実施する。マインドフルネス特性および労働生産性(アブセンティーズム (遅刻,欠勤,早退などの頻度) およびプレゼンティーズム (業務への集中,ミスの程度) にて測定)を測定する質問紙調査(web調査)を行う。これらの調査を実施する際,職階の差(管理者層,一般労働者層)によって,その効果に違いが無いかも検討材料に加える予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度も過去2年と同様に,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,予定していた国内外の学会や研究会/研修会が一部オンラインのままであった。そのため,依然として旅費の使用額が予定を下回っている。令和5年度は,こうした状況が一部改善する可能性が高く,専門研修や学会発表を含めた研究成果公表の旅費が発生すると考えられる。
また,遅れていた研究計画の関係で,インタビュー調査の整理とデータ解析,成果の公表(論文投稿)については,補助事業期間延長後に行う予定となったため,次年度使用額が生じた。こうした研究成果公表のための経費として,使用する予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (8件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 健康経営的視点に基づく労働者に対するマインドフルネスに基づく介入2022

    • 著者名/発表者名
      甲田 宗良
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 24(4) ページ: 90-93

  • [雑誌論文] 今,OKINAWA からはじめよう!:沖縄県公認心理師協会活動報告2022

    • 著者名/発表者名
      井村 弘子・宮良 尚子・大兼 千津子・甲田 宗良・比嘉 紀枝・奥村 茉莉子
    • 雑誌名

      公認心理師:実践と研究

      巻: 1 ページ: 27-34

  • [雑誌論文] マインドフルネスは医療・福祉・介護の担い手の「生産性」を向上させるのか?-健康経営的視点に基づく労働者に対するマインドフルネスに基づく介入-2022

    • 著者名/発表者名
      甲田 宗良・岡本 真実
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 24(9) ページ: 93-97

  • [雑誌論文] 災害時に生じるメンタルヘルスの問題とその対応2022

    • 著者名/発表者名
      中村 有吾・甲田 宗良
    • 雑誌名

      めんたる・へるす

      巻: 71 ページ: 49-57

  • [雑誌論文] 感情労働における深層演技がサービス業従事者のストレスに及ぼす影響 : 深層演技のプロセスに注目して2022

    • 著者名/発表者名
      田村 優衣・甲田 宗良
    • 雑誌名

      人間科学研究

      巻: 30 ページ: 1-16

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ひきこもり親和性のサブタイプが生活習慣およびインターネット行動に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      松丸 侑加・甲田 宗良
    • 雑誌名

      人間科学研究

      巻: 30 ページ: 17-28

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 大学生におけるセルフ・コンパッションに影響する運動・体育の諸要因の検討2022

    • 著者名/発表者名
      小澤 怜奈・上原 泉・甲田 宗良
    • 雑誌名

      人間科学研究

      巻: 30 ページ: 29-41

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] コンパッションに基づく心理学的学級介入プログラムの効果の検討2022

    • 著者名/発表者名
      仲嶺 実甫子・伊藤 義徳・甲田 宗良・佐藤 寛
    • 雑誌名

      マインドフルネス研究

      巻: 7(1) ページ: 55-69

    • DOI

      10.51061/jjm.71_6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 指定討論:新しいタイプの抑うつ(「新型うつ」)に関する研究の最前線-対人過敏傾向・自己優先志向からの解明-2022

    • 著者名/発表者名
      甲田 宗良
    • 学会等名
      日本心理学会第86回大会(本発表標題はweb会議)
  • [学会発表] エピソード的未来思考はセルフケア行動を促進するか?2022

    • 著者名/発表者名
      甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第48回大会
  • [学会発表] 感情労働における深層演技がサービス業従事者のストレスに及ぼす影響-深層演技のプロセスに注目して-2022

    • 著者名/発表者名
      田村 優衣・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第48回大会
  • [学会発表] 調理行動の想像が独居大学生の調理意図に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      朝枝 貴弘・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第48回大会
  • [学会発表] セルフコンパッションに影響する運動・体育の諸要因の検討2022

    • 著者名/発表者名
      小澤 怜奈・上原 泉・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第48回大会
  • [学会発表] ひきこもり親和性のサブタイプが生活習慣およびインターネット行動に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      松丸 侑加・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第48回大会
  • [学会発表] 不定愁訴の多い高齢者うつ病に対する認知行動療法-夫とのコミュニケーションの増加を意図した介入により奏功した一例-2022

    • 著者名/発表者名
      與儀 耕大・竹岡 里紗・小谷 泰教・井上 英治・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第48回大会(本発表標題はweb会議)
  • [図書] 代替行動の臨床実践ガイド2022

    • 著者名/発表者名
      横光 健吾・入江 智也・田中 恒彦・中島 俊・高階 光梨・宮崎 友里・甲田 宗良・中村 亨・村瀬 華子・瀬在 泉・野村 和孝・谷口 敏淳・牧野 みゆき・辻 由依・上河邉 力・姜 静愛
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      北大路書房
    • ISBN
      9784762831911

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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