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2023 年度 実施状況報告書

健康経営的視点に基づく労働者に対するマインドフルネスに基づく介入の効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K14187
研究機関徳島大学

研究代表者

甲田 宗良  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 講師 (50736189)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード健康経営 / マインドフルネス / メンタルヘルス / 気分 / テキストマイニング / 視覚分析
研究実績の概要

本研究課題の目的は,マインドフルネスに基づく介入(Mindfulness-based intervention: MBI)が,健康経営施策に及ぼす影響を検証することであった。
令和5年度は,令和3年度に実施したインタビュー調査の結果に基づき,令和4年度に開発した「オンライン形式によるマインドフルネス瞑想会」によって得られたデータの解析および参加企業へのフィードバックを行った。
毎回の気分チェックのデータについて,瞑想会開始時(年度始め)と終了時(年度終了時)のデータが揃っている29名を対象に,pre-postの平均値を比較した。その結果,不安気分および抑うつ気分については,post時点の得点がpre時点の得点よりも有意に低いことが示された。一方,ポジティブ気分はpost時点の得点が有意に高いことが示された。ただし,この傾向は瞑想会の参加回数による影響を受けており(瞑想会の参加回数を統制変数としたところ,一部の結果や統計値に変動が見られた),瞑想実践の回数や時間によって効果が変わることも示唆された。以上より,参加者の気分状態は,瞑想会によって適応的に変化するものの,一定程度の瞑想会参加を必要とすることも示された。
webアンケートによって収集した毎回の瞑想会の感想について,テキストマイニング,具体的には形態素解析,共起ネットワーク,対応分析を実施した。その結果,抽出後の特徴として「自分」「仕事」「気づき」「振り返る」「意味」「生活」といった語の出現数が多いことが示された。また,開始時および終了時それぞれの共起ネットワーク図を比較すると,「自分」という単語の出現回数や,この語と結びつきのある語の数やバリエーションが豊富になっていることが読み取れた。
こうした成果の公表や論文作成が遅れており,さらに1年研究期間を延長することとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和5年度は,令和4年度に実施したオンライン瞑想会の結果を整理し,解析した。その後,速報について,参加企業にフィードバックを行ったり,希望に応じて,参加者/企業に対して,フォローアップに相当するセッションなどを実施した。こうした対応を進める過程で,再解析やローデータの見直しを行うなど,当初想定した以上に,成果の公表や論文作成に時間を要することとなった。しかし,フィードバックを受けた知見やコメントは,今後の研究の推進施策に有益であり,また本研究成果を効果的に整理・公表・普及する上で,欠かせない資料となった。
これらの事情もあり,補助事業の延長を再申請した。以上より,「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

令和6年度は,すでに得られたデータの公表および論文作成・投稿を推進する。また,引き続き,参加者や参加企業へのフォローアップに相当する訪問を実施し,マインドフルネスの健康経営施策への適用・定着・発展のための関りを継続する。
併せて,一般労働者を対象として実施してきた基礎調査(マインドフルネス特性および労働生産性(アブセンティーズム (遅刻,欠勤,早退などの頻度) およびプレゼンティーズム (業務への集中,ミスの程度) にて測定)との関連や,マインドフルネスとワークエンゲージメント,働き方と睡眠-生活リズムの関連)の解析,論文作成・投稿を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度は,新型コロナウイルス感染症拡大の影響が低減したものの,本研究の参加者や参加企業は,その余波のためか,あるいは近年の物価高騰や働き方改革など,産業・労働領域を取り巻く社会課題への対応も相まって,多忙を極めている。そのため,研究結果のフィードバックや訪問の日程調整などにも時間を要した。また,研究代表者も,学内外業務が研究申請当初よりも多忙となり,こうした対象企業との調整に困難を要した。
また,遅れていた研究計画の関係で,インタビュー調査の整理とデータ解析,成果の公表(論文投稿)については,補助事業期間延長後に行う予定としていたが,これが1年の延長では叶わず,2年目(再延長)を申請することとなった。そのため,次年度使用額が生じた。引き続き,研究成果公表のための経費として,次年度使用額を使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Age‐related cognitive decline is accelerated in alcohol use disorder2023

    • 著者名/発表者名
      Kurihara Kazuhiro, Shiroma Ayano, Koda Munenaga, Shinzato Hotaka, Takaesu Yoshikazu, Kondo Tsuyoshi
    • 雑誌名

      Neuropsychopharmacology Reports

      巻: 43 ページ: 587-595

    • DOI

      10.1002/npr2.12395

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 自己愛傾向がオタク活動の適応・不適応に与える影響:パッションの観点から2023

    • 著者名/発表者名
      片山 知香・小澤 怜奈・甲田 宗良
    • 雑誌名

      人間科学研究

      巻: 31 ページ: 1-16

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「新型うつ病」の登場は「激励禁忌」という考え方を終わらせる2023

    • 著者名/発表者名
      甲田 宗良
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
  • [学会発表] Tokushimaマインドフル・(ハイ)スクールの開発と予備的実践2023

    • 著者名/発表者名
      甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第49回大会
  • [学会発表] パッションがオタク活動のポジティブ・ネガティブ感情に与える影響-オタク活動は“幸せ”だけをもたらすのか-2023

    • 著者名/発表者名
      片山 知香・小澤 怜奈・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
  • [学会発表] 情動制御不全が精神科外来通院患者のうつ・不安症状に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      中村 小海・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第49回大会
  • [学会発表] 初学者による短期・短時間認知行動療法の奏功要因の考察-社交不安症を併存するうつ病患者に対する実践を通じて-2023

    • 著者名/発表者名
      山下 裕子・小谷 泰教・竹岡 里紗・甲田 宗良
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第49回大会

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公開日: 2024-12-25  

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