研究課題/領域番号 |
20K14191
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研究機関 | 北翔大学 |
研究代表者 |
入江 智也 北翔大学, 教育文化学部, 准教授 (90787730)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大学生 / 精神的健康 / 認知行動療法 / アプリケーション |
研究実績の概要 |
当該年度では、昨年度までに開発した大学生向けの精神的健康促進を目指した非対面式プログラム(アプリケーション)のユーザビリティテストおよびパイロットスタディを行った。パイロットスタディは大学生16名を対象として、アプリケーションを2週間実施するものであった。測定時点は、アプリケーション実施前、実施1週間後、実施2週間後、実施4週間後(主要アウトカム)とするものであり、最後にユーザビリティに関するアンケートを実施した。その結果、アプリケーションを実施した者は、アプリケーション実施前と比較して、アプリケーション実施4週間後に有意に抑うつ症状の低減を示した。また、ユーザビリティの評価を含めたその他の指標においてもおおむね良好な変化が認められることから、本研究において開発されたアプリケーションは精神的健康の促進において一定の効果を有すると考えられる。本アプリケーションはセラピストを媒介せず、ユーザー自身が単独で実施することができ、なおかつ対面で実施される精神的健康の促進を目指す心理療法(たとえば認知行動療法)の展開を妨げることなく、むしろホームワークを管理する役割を担うことができるため、今後併用することによる有用性も予測される。しかしながら、当該年度の課題はあくまでパイロットスタディであり、対照群を設定しないデザインによる検証であったため、今後はより精緻化されたデザインに基づくアプリケーションの評価が必要になるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アプリケーション開発までの過程は感染症流行といった予期しえない要因によって遅れが生じていたが、当該年度は研究実施環境が整ったことから遅れていた部分を大きく賄うことができたため、順調な進展にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアプリケーションの臨床試験として、無作為化比較試験を実施して効果検証を行う。対象者は研究責任者および協力者の所属大学において募集する予定であるが、参加者の応募状況に応じて外部業者に委託しリクルートを行うことも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、進捗状況に応じて臨床試験を開始することが可能になるよう、予算を計上していたが、結果として臨床試験は今年度より実施する運びとなったため、次年度使用額が生じた。臨床試験の規模については当初計画から変更なく進める予定であるため、次年度使用額は今年度の臨床試験のために用いる。
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