研究課題/領域番号 |
20K14194
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
田中 佑樹 和洋女子大学, 人文学部, 助手 (40846771)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ダルク / 薬物依存 / 認知行動療法 / セルフ・コンパッション |
研究実績の概要 |
本邦における薬物事犯の再犯率の高さを背景として、社会内における薬物依存者に対する改善支援(社会内処遇)の充実が急務とされる。しかしながら、社会内における中核的な支援機関の1つである「ダルク」の利用によって心理的回復に至る者は必ずしも多いわけではないという課題があげられる。以上のことを踏まえて、本研究は、ダルクの利用による心理的回復を左右する個人差要因を検討したうえで、ピアサポートとしてのダルクの施設特性に即した、薬物依存者の心理的回復を促すための認知行動論的支援プログラムを開発することを目的としている。2020年度は、ダルクにおいて心理的回復を目指すうえで重要とされている共同生活を送る「仲間」との良好な関係性の形成を左右する個人差要因の検討を行った。具体的には、自分自身に対する思いやりを持ち、否定的経験を人間に共通するものとして認識し、苦痛な考えや感情をバランスがとれた状態にしておくこととされる「セルフ・コンパッション」(Neff, 2003)に着目した。今年度は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う緊急事態宣言が発令された期間があったことなどに起因して、学外機関であるダルクにおいて研究を実施することが極めて困難な状況であったものの、得られた少数のデータに関して予備的な分析を行った。その結果、セルフ・コンパッションが高いほど、ダルクにおける「仲間」とのかかわりを通してメリットが知覚されやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、研究協力先であるダルクへの訪問を延期せざるを得ず、データ収集を当初の予定通りに行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も新型コロナウイルス感染症の流行状況に鑑みて、現実的に実施しうる方法論を用いてデータ収集を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、今年度中に予定していたデータ収集のための出張を延期せざるを得なかったことや、出張を伴う学会参加がオンラインに変更になったことなどの影響を受けて、配分額の一部に次年度使用額が生じた。当該感染症の流行の収束状況に鑑みて、社会的に適切な時期に、当初の計画に即した用途に使用する予定である。
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