本研究の成果は,これまで不快な思考を遠ざけることでネガティブな気分を一時的に改善するものとして捉えられてきた気晴らしを,積極的に不快な対象と向き合い,受け入れることで,長期的にネガティブな気分や反すうを緩和する方略として使用できる可能性を示すものである。学術的観点からは,本知見は気晴らしの作用機序や反すうのメカニズムに関する研究の発展に寄与しうると考えられる。また社会的意義としては,日常生活の中で容易に実施可能な新たな反すうへの対処方法を提唱し,その有効性を確認したことで,抑うつをはじめとした精神的健康に関する問題の改善に貢献しうることが挙げられる。
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