本研究の目的は、教示に「自分の反応を見る」という手続きを含めるか否かによって、個体内に反応変化の差が生じるかどうかを実験的に検証し、カウンセリングの面接技術の中のクライエントの行動変化を促進する重要な要因は何かを明らかにすることであった。研究は、第1段階「実験用プログラムの作成と予備実験」、第2段階「実験プログラムによる反応測定」、第3段階「データ分析」、以上3段階で実施する計画であった。
2023年度は、第3段階のデータ分析により、次の結果を得た。①質問によって反応変動性が低下する、②言語刺激の提示がさらに反応変動性を低下させる可能性がある、③個人差については、マインドフルネスのうち、自身の体験をネガティブに評価せず、目の前で起きていることに集中して取り組むことのできる特性が、反応変動性を低下させにくくする可能性がある この結果から、言語を使用する限りはどのような関わりであってもクライエントの行動を制約する可能性があるため、臨床場面ではクライエントが「今、ここ」を「評価せず」体験できるような工夫が重要であることが示唆された。以上について論文にまとめ、投稿した。
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