研究課題/領域番号 |
20K14206
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
谷渕 真也 香川大学, 医学部, 准教授 (90583071)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多文化カウンセリング能力 / 尺度作成 / 心理職養成 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
先行研究から収集した多文化カウンセリング能力 (以下,MCC)の測定項目について,地域の支援活動の日本人スタッフらと,地域社会に暮らす外国人家族の心理支援に必要な技能という観点から協議を行った。養成課程の学生の段階では,心理面接や心理査定で求められる能力を測定する従来の尺度項目を用いることが適当ではない可能性や,地域に暮らす外国人,とりわけ日本の公立学校に通う外国人児童生徒を具体的に想定した態度・知識・スキルを検討する必要性が明らかになった。そこで,養成課程の学生にとってより具体的で実践的なMCCを測定する尺度を作成するため,以下の方針で改めて測定項目を検討した。(a) 生活場面に存在する自他の文化の特徴やバイアス,文化的障壁に気づく態度を測定する,(b)地域で暮らす外国人家族,とりわけ日本の公立学校に通う外国人児童生徒を取り巻く状況に関する知識を測定する,(c) 生活場面での文化的障壁に対処するスキルを測定する。 現在作成中の訓練プログラムでも,(a),(b),(c)の観点で参加者の能力と効力感を同時に高める内容を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度から引き続き,COVID-19の影響でMCC測定項目を決定するための地域の支援活動の日本人スタッフおよび外国人当時者との協議が大幅に遅れた。そのため測定項目の決定に時間を要し,その後の実態把握の調査実施,訓練プログラムの試行も未着手であった。 これらの事情から,研究成果の公表も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度未着手であった学生のMCCの実態把握と訓練プログラムの試行・効果評価を同時並行で進める。 ただし,依然としてCOVID-19の影響は大きく,訓練プログラムにおいて当初予定していたイマージョン教育としての地域日本語教室での実習および外国人児童生徒との「フォトストーリー」を実施することは極めて困難と予想される。本研究においてイマージョン教育として実習を導入することの意義は,参加者の自我関与度を高め,地域に暮らす外国人に対応するMCCを実践的に学ぶことであった。 フィールドでの「フォトストーリー」実習の代替として,日常生活場面で遭遇しうる事例を多く取り上げ,そこで発生しうる文化的バイアスや文化的障壁,その対処法について演習,講義を行う。さらに,プログラムをオンライン上で実施する場合と対面で実施する場合の違いについて検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で,実態調査の実施,訓練プログラムの試行,学会等での成果の公表が当初計画より大幅に遅れている。2022年度にこれらの計画を遂行するため,機器備品,消耗品,人件費,旅費に助成金を使用する。
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