研究課題/領域番号 |
20K14207
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研究機関 | 鹿児島純心女子大学 |
研究代表者 |
仲 沙織 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 准教授 (10814717)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域精神科医療 / アウトリーチ / 臨床心理職 / 多職種協働 / SST |
研究実績の概要 |
昨年度に実施したインタビュー調査(2尺度の質問紙調査を含む)及び全国区での質問紙調査について、研究協力者としてデータ入力作業に2名、HADを使った量的解析作業に1名雇用し、分析を進めた。インタビュー調査の言語データは、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析し、医師不在の訪問看護ステーションと病院内設置の訪問看護部との比較により、新たな知見を得ることができた。本結果は、2022年9月開催予定の日本心理臨床学会第41回大会において、「多職種訪問支援従事者の主観的体験プロセスとコア・コンピテンシーの検討」をテーマとして研究発表を予定している(発表論文集原稿受理済み)。 また、全国区での質問紙調査の分析結果より、多職種アウトリーチチームスタッフのバーンアウト傾向やワーク・エンゲイジメントの様相について示唆を得ることができ、研究発表の準備を進めているところである。 さらに、研究成果として、研究論文「GAF尺度別における精神科アウトリーチサービス利用者のニーズ傾向-質問紙調査による検討-」を、鹿児島純心女子大学人間教育学部紀要第28号(p.31-p.45)へ発表した。 本研究課題の次年度の予定として、SST(Social Skills Training)を用いた介入調査を予定しており、その前段階として、SST普及協会前理事である皿田洋子講師のご協力いただき、2022年2月に研修会を実施した。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オンライン開催となったが、参加者の心理専門職より高評価を得ることができた。この研修会は、2022年4月に2回目を予定しており、対面実施に向けて準備を進めているところである。 当該年度も新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け研究協力者の縮小やオンラインの活用など、研究計画の変更を余儀なくされたが、可能な限りの方策を尽くし研究を継続することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究課題申請時には予期していなかった、全国的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響を当該年度も大きく受け、インタビュー調査予定であった複数の施設より研究協力辞退の申し入れがあった。対象施設を縮小しオンラインを利用するなど、方法を模索しながら研究を進めた。全国区での郵送による質問紙調査でも、感染症対策によりリモートワークを実施していたり、クラスター予防のためスタッフの人数を制限して通常業務を実施するため、業務多忙により研究協力への余力がない、などの理由から、予定より大幅に少ないデータ数(15施設、134名分)となっている。 次の研究計画として、SST(Social Skills Trainning)を用いた介入調査を予定しているものの、対象施設(訪問看護ステーションアトラス福岡)地域で、蔓延防止措置が続き、また、本務校(鹿児島純心女子大学)の規定により感染症予防のため県外への出張制限が続いており、開始時期を大幅に遅らせているところである。
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今後の研究の推進方策 |
介入調査での研究協力施設(訪問看護ステーションアトラス福岡)からの開始承諾を待っているところではあるが、蔓延防止措置が解除され、2022年4月に、SST普及協会前理事の皿田洋子講師を招き、施設スタッフを対象としたSST(Social Skills Trainning)の研修会を開催する予定である。現段階では、対面実施を予定している。この研修会で、訪問支援におけるSSTの効果的実施方法について理解を深め、介入調査へと繋げていく計画である。 また、SSTの効果検証のため、訪問サービス利用者を対象として、SST導入前後で心理検査を実施し、認知機能や社会性、対人コミュニケーションのスキル等を見ていく予定である。対象となる利用者の選出について、主治医および訪問担当スタッフに依頼済である。テスターを担う心理職の選出は済んでおり、研究協力への同意を得ている。 研究成果を、日本心理臨床学会および日本人間性心理学会にて研究発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度も、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、学会や研究会への参加が困難な状況であったため、計画していた旅費を執行せず次年度使用額が生じている。 次年度では、研究協力施設地域の蔓延防止措置が解除となったため、介入調査を実施予定であり、遅れている研究計画を進めていきたいと考えている。研究協力受け入れの目途が立ち次第、介入調査に伴う旅費、研究協力施設への協力金、研究発表にかかわる旅費や手数料等の予算執行を予定している。
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