研究課題
若手研究
本研究の目的は、親子の報酬と罰に対する反応傾向を強化学習モデルに基づいて推定し、それらが親子それぞれの心理的適応にどのように関連するのかを明らかにすることであった。親子を対象とした複数の調査および実験の結果、子どもの報酬と罰への反応傾向を推定するにあたって、適切なモデル選択についてより精緻な検討が必要であることが示唆された。また、親子の報酬と罰への反応傾向が類似していることと、特に親の罰への反応傾向が子どもの心理的ストレスの強さに繋がる可能性があることが示された。
臨床心理学
報酬と罰への反応傾向は、様々な心理的適応と関連することが示されてきた。本研究では、中高生の子どもの心理的ストレスが、本人の罰への反応傾向だけでなく、親の反応傾向からの影響も受ける可能性を示した。また本人の反応傾向自体も、親の養育行動によって変化する可能性も示唆された。以上の成果は、養育者の反応傾向や養育行動への介入が、子どもの様々な心理的適応の改善につながることを示す基礎的な資料として学術的・社会的意義があると考えられる。