研究課題/領域番号 |
20K14228
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
島崎 崇史 上智大学, 文学部, 講師 (20735170)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メンタルヘルスプロモーション / 行動 / セルフエフィカシー / 阻害要因 / 雇用格差 |
研究実績の概要 |
研究初年度は(1)横断調査(量的調査)のデータ分析:メンタルヘルスプロモーション行動の実施に影響をあたえる心理社会的要因の検討,(2)横断調査(質的調査)の実施:メンタルヘルスプロモーション行動の実施を阻害する要因の検討,および(3)心の健康増進を意図した健康教育漫画の開発,をおこなった。 (1)のうち心理的要因については,結果予期および効力予期という異なるセルフエフィカシーによる行動実施に対する影響を検討した。その結果,行動変容を促すためには,いずれか一方ではなく,両者を高めることが重要である可能性が示唆された。この研究の成果は,国外学術誌に論文としてまとめ,投稿した。 (1)のうち社会的要因については,メンタルヘルスの状況およびメンタルヘルスプロモーション行動の実施状況に年代による大きな差異が確認された。また,社会的役割による差異に関する検討の結果,特に雇用格差が,メンタルヘルスの状況およびメンタルヘルスプロモーションの実施状況の両者に影響していることが明らかになった。当該研究の成果については,国外の研究者と協力しながら,論文を執筆している。 (2)については,千代田区と連携して調査をおこない,行動の実施を阻害する要因として,時間のなさ,新型コロナウイルス感染症,優先順位の低さ,興味のなさ,機会のなさ,疲労,仲間の欠如,知識不足,金銭的負担,スケジュール調整,日常の規則性,動機づけのなさ,人間関係の煩わしさ,および環境変化,といった内容が抽出された。 (3)については,2021年度以降の介入研究実施にむけて,エンターテイメント教育の理論に基づくメンタルヘルスプロモーション行動の実施を促す健康教育漫画の開発をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,概ね当初の研究計画に則り研究を遂行することができたと評価できる。千代田区との連携による基礎調査の実施,ならびに次年度以降におこなう介入研究および地域における実践で活用可能な情報媒体についても作成を進めることができた。一方で調査の中で交絡した変数もあり,次年度以降の補足・追試的な調査研究の必要性も考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,2020年度調査の追試,および介入媒体を完成させ,倫理委員会への申請,臨床試験登録を経て,年度末には作成した介入媒体を用いた無作為統制化試験をおこないたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は,新型コロナウイルス感染症の影響により,研究成果の公表を予定した国際会議が中止となったことが大きく影響し,旅費の支出,ならびに物品の購入額が少なくなった。 次年度も同様の影響が予定されているため,繰越額と合わせた追試の実施,ならびに介入研究に用いる媒体の開発費に充当する予定である。
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