研究課題/領域番号 |
20K14229
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
大瀧 玲子 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (20838346)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | きょうだい / 発達障害 / 家族支援 / 障害者家族 / 質的研究法 / 心理支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、知的障害を伴わない発達障害者の成人期きょうだいの体験と支援のニーズについて、きょうだいの当事者性と家族システムに着目し質的な検討を行うことを目的としている。具体的には、①知的障害を伴わない発達障害者の成人期きょうだいへのインタビュー調査、②発達障害者の親への質問紙・インタビュー調査を主な軸として、きょうだいの体験を明らかにすると同時に、家族を一つのシステムとして包括的に捉えることで障害者家族への理解を深め、きょうだいを含めた家族全体のニーズに応じた支援の構築を目指す。 2020年度は、①成人期きょうだいへのライフストーリーインタビュー調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、新規の研究協力依頼が難しい状況にあった。そのため、家族システムの視座から障害者家族に関する知見の整理と分析を行い、学会発表等を行った。きょうだいや親は、障害者とのかかわりの中で困難を抱えるだけでなく、ケアの必要性やその意義を社会が理解していないと感じることが多く、そのことが家族や支援者、社会との間でつながれなさとなってストレスを強めていることが見出された。障害者の家族支援においては、きょうだいのみ、親のみと対象を取り出し支援が行われることが多いが、障害をめぐる困難が家族や社会の中ではどのように意味づけられているかという点は家族メンバーそれぞれの体験に大きく影響を与えている可能性がある。特に成人期のきょうだいには、それまで親が担っていたケア役割の移行を求められることも多く、きょうだいの体験とその支援について、家族や社会システムの視点から検討していくことが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、新規の研究協力依頼や調整は延期の判断をしたため、研究の進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初2020年度に実施する予定であった、成人期きょうだいへのインタビュー調査を引き続き実施する。しかし感染拡大の状況では、感染への不安や日常生活への制限と変化によって、障害児・者を含めた困難を抱える家族の暮らしには大きく影響が出ていることが指摘されており、インタビューの実施は協力者への負担が大きいことが懸念される。また、心理支援以上に現実的な生活への支援等が必要である方も多いことが推察される。今後は感染の状況と障害者家族への影響について十分に配慮しながら、2022年度に実施予定であった質問紙調査を前倒してオンライン上で実施するなどの計画変更等についても検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の検討のために国内学会に参加するための旅費を計上していたが、新型コロナウイルスによってオンライン開催に変更されたため、当初の予定額より支出が少なくなった。また、①成人期きょうだいへのインタビュー調査を本年度中に実施する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により調査実施が行えなかったため、当初予定していた人件費(調査協力謝礼、データ整理等)は来年度以降に使用する予定である。
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