研究課題/領域番号 |
20K14245
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研究機関 | 愛知東邦大学 |
研究代表者 |
吉村 道孝 愛知東邦大学, 人間健康学部, 准教授 (60772407)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 睡眠 / 概日リズム / 光療法 / Virtual reality |
研究実績の概要 |
人の概日リズムは、生命維持にとって必要不可欠な生体機能である。概日リズムの乱れは、睡眠障害のほかにも、精神疾患や生活習慣病、悪性新生物や認知症、寿命などにも関連があることが近年の研究結果から明らかになっている。概日リズムの同調因子として最も強い影響を及ぼすのは目から入る光である。目から入った光が網膜の内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGCs) に到達し、マスタークロックである視交叉上核からリズムが発振される。光療法は、この作用を生かして起床後に高照度の光を照射することで、概日位相を前進させることを目的としている。 これまでの光治療の実践では、高照度光治療室や据え置き型の光照射器が用いられてきた。最近では、ブルーライトを用いた小型のポータブル光治療器や、ヘッドセット型(眼鏡型)の光治療器なども開発されている。一方で、それらの効果は個人差が大きいとされ実効性を人で検証した研究は少なく、概日リズムの位相変化に必要な光量が網膜まで到達しているかについて十分に検討されていない現状がある。また最近では光の強さだけでなく、波長帯域や網膜への照射角などに関する研究結果も報告されている。本研究では、Virtual Reality(VR)機器を用いて全視野照射型の光照射システムを開発し、その効果を明らかにする ことを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症拡大により、昨年度実験プロトコルを変更したことから研究の実施が本来の計画より遅れている。実験プロトコルの主な変更点は、実験室で宿泊をともなう実験から、在宅での実験に切り替えた。その結果、想定していた実験機器は使用できなくなった。今年度は、在宅でも実験が可能な簡便で安全な機器の開発のための準備期間及び準備に着手している。同時に、感染症の影響によって人々の睡眠習慣がどのように変化したのかの全国調査をおこなった。以上のことから、本来であれば人を対象とした実験が開始している段階であるため、「やや遅れている」と判断した。来年度以降は、変更した実験プロトコルに沿って研究をすすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
感染症の拡大により、収束の見通したがたたないため、実験室での宿泊実験から在宅での実験に研究計画を変更した。そのため想定していた機器やプログラムは使用できなくなった。簡便なプログラムの開発へと変更し、その準備をおこなった。現在は光照射を在宅でもできるプログラムを構築し、そして安全におこなうために開発をおこなっている。 今年度は変更された研究プロトコルに沿って、プログラムの開発及び小人数でfeasibilityを確認する。さらに安全性と一定の効果を確認した上で、当初予定されていた規模での実験をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症拡大による研究計画の変更・遅延により実験準備の立て直し、物品の変更等が生じた。次年度は、プログラムの開発費用とfeasibility実験の費用(謝礼)として計上する。
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