研究課題
若手研究
本研究の目的は、身体錯覚の一種であるセルフタッチ錯覚パラダイムを用いて、ひとがどのように限られた感覚入力から自分自身の身体を中心に効率的な情報処理を行い、その結果として生じる身体的自己をいかに構築するかを調べることにあった。その結果、錯覚的な「自分で自分の手に触れている」という感覚は、単純に触覚刺激の同期・非同期という情報だけによって達成されるのではなく、身体周辺の空間をも情報処理の対象として適応的に重みづけられながら表現されている可能性を示した。
実験心理学
本件研究の学術的意義は、セルフタッチ錯覚パラダイムを用いて、「自分で自分の手に触れている」という身体的自己の諸相を明らかにするところにあり、社会的意義は、身体的自己の障害の理解や支援、道具の操作や効率化など多岐にわたる分野への基礎的なデータを提供し得るところにある。