研究課題/領域番号 |
20K14255
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山下 雅俊 京都大学, 総合生存学館, 特定研究員 (50828928)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中枢性疲労 / ジェットラグ / モノアミン代謝物質 |
研究実績の概要 |
中枢性疲労(精神性疲労)は脳神経系を主体とする疲労現象であり、慢性疲労症候群の病理状態と関係する。疫学研究によると睡眠異常や疲労に悩む多くの学生が存在すると言われており、これらの遷延化が就学の困難に関係することも指摘されている。しかし、不登校状態における疲労と睡眠の特異性については明らかになっていない。 本研究では、不登校学生と健常学生によって疲労・睡眠状態、神経活性物質、脳の構造の指標がどのように異なるのかを心理調査、尿中神経活性物質、脳容積に関して調べ、これらの指標の相関関係を明らかにする。 当該年度においては、13歳から18歳の不登校学生は健常学生よりも睡眠中央時刻が後退し、認知的作業後の疲労度も高まることを見出した。この結果は不登校学生の睡眠相が昼間へと後退することを示唆しており、ジェットラグのような状態を伴う不登校学生の脳は疲労が蓄積した状態にあると推測する。また、尿中神経活性物質についてアミノ酸やモノアミン代謝物質の測定法を確立し、学生のベースライン値の入手に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度では疲労・睡眠状態を把握し、尿中モノアミン代謝物質のベースライン値を採集した。これらの成果は3つの国際学術雑誌に投稿し、1本の国際論文が受理されている(2本目は査読後修正中、3本目は再投稿準備中)。しかし、感染症の蔓延に伴う社会情勢を考慮して研究活動に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、尿中のアミノ酸(トリプトファン、キヌレニンなど)を測定し、疲労・睡眠状態との相関関係を明らかにする。社会情勢が落ち着き次第、MRIを使用した脳構造の取得を進める予定である。
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