研究課題
若手研究
不登校傾向児の中枢性疲労とそれに関係した分子神経機序を明らかにするために、不登校傾向児と通常登校児の尿中トリプトファン、5-ヒドロキシインドール酢酸(セロトニン代謝産物)、安静時fMRI課題中の脳活動、脳構造を比較する実験をおこなった。その結果、不登校傾向児の中枢性疲労の引き金には末梢のトリプトファン含量の増加が関連することが示唆された。さらに、不登校傾向児の中枢性疲労状態は楔前部の萎縮に強く影響し、それに関連したネットワークや認知機能にも影響を及ぼす可能性が示唆された。
実験心理学
本研究の学術的特徴は、生化学と認知神経科学の方法論を用いて、不登校の中枢性疲労に関する分子神経機序を明らかにすることを目指している点である。このような従来にない独創的なアプローチにより、非侵襲性に優れた尿指標のトリプトファンが不登校の中枢性疲労の引き金となる可能性を見出し、さらに脳イメージングを組み合わせることで不登校の脳構造の特徴をも明らかにした。このことにより、不登校の根本的理解と疲労し易い病態生理の解明に近づき、教育指導に繋げるための基礎的・科学的知見を提供できると考えられる。