情動体験に伴う驚き表情と意図的に作成された表情の時空間的特徴に関する違いをこれまで明らかにしてきた。具体的には、体験の伴う驚き表情に関して は、表情反応に非対称性があり、相互相関が驚いたふりをする表情よりも小さくなることが明らかとなった。その成果は,Scientific Reports誌にて採択され出版された。さらに,形態の異なる表情を踏まえたうえで,観察者がどのようにふるまいかを数理モデルで記述した研究をFrontiers in Psychology誌にて,報告した。表情をFeedbackとして,学習がどのように展開するかを記述した数理モデル研究もFrontiers in Psychology誌にて採択され出版された。 さらに,日本人でない英国人も含めた多国籍集団の笑顔に関する形態的情報を多変量解析によって分析し,その量的な違いを記述し報告する研究もJournal of Nonverbal Behavior誌にて採択され出版された。また,喚起条件のみならず,観察者の解釈において「体験が伴う」と判断される表情の重要性がこれまでの研究成果により明らかとなった。そこで,その解釈に基づいて多変量解析を行い,多くの人が「体験が伴わない」 と判断する表情に関しては、より口を大きく開く運動が見られ、「体験が伴う」と判断される表情に関しては表情運動の立ち上がりがより緩やかとなる、という 時系列情報を明らかにした。この研究成果は,Plos ONE誌にて採択され出版された。以上の研究により,日本人と英国人の「体験の伴う」表情表出の時系列パターンが明らかとなった。
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