研究課題/領域番号 |
20K14259
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
福田 実奈 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (40822995)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 食物渇望 / 気分 / 抑うつ |
研究実績の概要 |
本研究は、渇望と呼ばれる現象はどのような学習により形成・維持されているのかという学術的問いのもと、行なっている研究である。渇望は、特定の物質を摂取したいという我慢できないくらい強い欲求と定義される。本研究では、渇望と呼ばれる現象が、刺激間の関係の学習であるパブロフ型学習(古典的条件づけ)から刺激と反応間の学習である道具的学習(オペラント条件づけ)への転移であるPavlovian-Instrumental Transferによって生じているかどうかを検討し、その問題反応の消去可能性を探る。これまでの研究では、学習の転移の検討も行われてきているものの、ヒトを対象としてその原理の適用範囲を探る研究は少ない。渇望におけるPavlovian-Instrumental Transferの作用機序を明らかにし、更にその原理を利用した解決案を提示することは、応用研究として見ても有益な知見を提供するものとなる。 今年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、飲食を伴う実験室実験を行うことができなかった。そのため、気分操作のシナリオにより渇望が変化するかどうかを、調査会社の登録モニタを対象に実施した。その結果、抑うつ喚起条件において,抑うつ得点が高いほど,ごはん渇望,すし渇望,ハンバーガー等からなる欧米の食べ物因子4項目の渇望が高いという有意な正の相関が見られた。一方で,統制条件においてはそれら全ての相関が有意ではなかった。これらの結果から,抑うつが喚起される場面に置かれた場合,その抑うつの程度に応じて食物渇望が増加する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は実験室実験を行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
依然として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束の目処が立たない現状ではあるが、感染対策のノウハウは蓄積されてきているため、種々のガイドラインに従い、実験室実験を行えるよう準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験を実施できなかったため次年度使用額が発生した。今年度実施の実験に充てる予定である。
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