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2021 年度 実施状況報告書

異種への親和性形成におけるオキシトシン神経系の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K14260
研究機関自治医科大学

研究代表者

岡部 祥太  自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (00747256)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードラット / 超音波 / オキシトシン / 親和性 / 不公平忌避
研究実績の概要

昨年度に引き続きオキシトシン受容体遺伝子が欠損しているラットと野生型ラットを用い、ヒトに対する親和的行動の発現が阻害されるのかどうか検証した。ラットを幼若期から撫でてきた実験者と見知らぬ実験者のどちらに嗜好性を示すか検討したが、遺伝子欠損ラットも野生型ラットも幼若期から撫でられた実験者へ嗜好性を示した。その他、不安行動なども調査したが、遺伝子欠損の影響は確認できなかった。このことから、ヒトに対するラットの親和的行動にはオキシトシン受容体遺伝子の欠損の影響が無く、オキシトシンの機能が必須ではないことが明らかになった。本年度はさらに、オキシトシン受容体遺伝子の欠損によりラットの社会的な不公平に対する忌避反応が阻害されるかどうか検証した。
撫でられることを好むラットの前で別のラットを撫でた時に、ラットは不快情動の指標となる超音波を発する。このような行動学的な反応は撫でられても快情動を示さないラットでは見られない為、撫で刺激(社会的報酬)の不公平な配分に対する忌避反応であると言える。そこで、不公平忌避を反映しているであろう超音波の発声がオキシトシン受容体遺伝子の欠損により阻害されるか検討した。その結果、不快情動の指標となる超音波の発声回数や音響特性に遺伝子型間に大きな差は認められなかった。これらの結果からオキシトシン受容体遺伝子はヒトに対する親和性やそれに基づく不公平忌避に影響しないことが明らかになった。
本研究の一部は論文にまとめ、現在投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

オキシトシン受容体遺伝子欠損ラットによる実験が完了し、ヒトに対する親和性の形成や発露、それに基づく社会的不公平忌避にオキシトシン受容体遺伝子が必須ではないことが確認できた。一方で、オキシトシン神経系の機能を強化することでそれら行動学的な反応が強化される可能性についての検証は、必要なツールの調達が遅れており、進捗としてはやや遅れている。

今後の研究の推進方策

オキシトシン神経系の人為的活性化の方策について引き続き検討しつつ、個体間の親和性形成のメカニズムを探ることができる新たな行動実験系の構築について検討をする。具体的には音声コミュニケーションに焦点を当てる。これまでの研究の途上で、不公平忌避時にラットが発する不快情動の指標となる超音波の周波数や持続時間が従来報告されているものと比べて若干異なっていることが明らかになった。そこで、まずはこの音声に対するラットの行動学的な反応を調査し、不公平忌避時の音声の生物学的な意義を明らかにする。その上で、快情動や強い不快情動の指標となる超音波を提示した際のオキシトシン神経系の活性と比較し、オキシトシン神経系の関与を調査することを想定している。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染症の影響で研究活動の遅延や旅費が余ったため、次年度の実験に必要な試薬の購入や論文出版などの費用に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Rats emit unique distress calls in social inequality conditions2022

    • 著者名/発表者名
      Shota Okabe, Yuki Takayanagi, Masahide Yoshida & Tatsushi Onaka
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2022.02.22.481162

  • [学会発表] ラットのペット化実験2021

    • 著者名/発表者名
      岡部祥太
    • 学会等名
      行動遺伝学研究会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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