身体所有感の発達プロセスは未だ解明されていないため、本研究では、定常状態視覚誘発電位(SSVEP)を用い、多感覚統合による身体所有感の発達を検討した。実験では、金属棒が手の甲に接触するフリッカ映像を乳児に観察させ、映像に同期して実際の接触がある条件と、まったく接触しないでSSVEP誘発量を比較した。その結果、8ヶ月児では、触覚刺激なし条件と比べ、触覚刺激あり条件のSSVEP誘発量が高いことが判明した。しかし、この条件差は4ヶ月児にみられなかった。これらの結果から、多感覚入力を統合した身体表象は生後7-8ヶ月で既に発達していることが示され、身体所有感は生後発達によって獲得されると示唆された。
|