研究課題/領域番号 |
20K14268
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
山川 香織 東海学園大学, 心理学部, 助教 (00742131)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 急性ストレス / コルチゾール / 意思決定 / 随伴性学習 / 感情 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,急性ストレス反応が感情に基づく意思決定に与える影響の経時的変化を検証することである。急性ストレス負荷によって生じるコルチゾール反応は,負荷直後だけでなく負荷数時間後にも認知・行動に影響を与えることが報告されている。代表者はこれまで,急性ストレス負荷直後に比べ2時間後において,報酬に基づく意思決定が促進されることを明らかにしてきた。このような 急性ストレスの経時的作用は,感情を伴う場面においてより強調されることが示されている。そこで本研究では,結果として感情刺激が提示される意思決定課題を用い,急性ストレスが感情に基づく随伴性学習に与える影響の経時的変化を検証する。また,随伴性学習に伴う認知処理を電気生理学的手法によって検証し,さらにコルチゾールをはじめとした内分泌反応の関連を明確にすることで, 急性ストレスによる行動変容の生理学的メカニズムを時間依存性の観点から解明する。 初年度である2020年度は,感情を伴う場面における随伴性学習の基礎挙動を確認するため,確率学習課題の課題作成を行った。確率学習課題では,参加者は報酬随伴確率の異なる2つの刺激間での選択を行い,選択に従って結果がフィードバックされる。随伴性学習が促進される場合,価値更新が頻繁に生 じるため,報酬を伴う刺激への選択傾向が高くなると考えられる。予備実験では,金銭FB条件と感情刺激FB条件を行い,報酬を伴う刺激の選択率を算出し比較し,両条件において,報酬または快画像を伴う刺激に対する選択率が高まるこ とを確認することが目的であった。しかしながら,新型コロナウイルスの感染拡大により実験実施が困難であったため,2020年度は課題の作成をはじめとした実験準備に留まることとなった。今後予備実験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の実施計画では予備実験を完了させる予定であったが,新型コロナウイルス感染拡大のため実験室実験の実施が困難であったことから,当初の予定より遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は2020年度に実施予定であった予備実験を実施する予定である。さらに,当初通り2021年度実施予定であった急性ストレス負荷の継時的作用に関する研究(本実験1)の準備も並行して進めていく予定である。また,本研究は唾液採取を伴うため高い感染リスクを伴う実験である。フェイスシールドや消毒の徹底など新型コロナウイルス感染予防策を講じながら,所属機関における警戒レベルに従い,慎重に研究を実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため,当初予定していた実験室での予備実験が困難になったことから残余が生じた。残余分は予備実験に関わる諸経費(謝礼・感染防止に関連する消耗品)に充填し,2021年度実施予定の本実験に関わる諸経費および学会参加費に加えて使用予定である。
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